9月議会では、決算特別委員会で質問をさせていただきました。
2019.10.3「自然公園・九州自然歩道」
▶後藤香織
民主県政クラブ県議団の後藤香織です。
それでは、通告に従い、自然公園と自然環境保護について質問します。
福岡県は三方を海に囲まれ、三郡(さんぐん)山地、筑紫山地、耳納(みのう)山地を抱え、その間を流れる筑後川や遠賀川などで県土を形成しており、海、山、河川、更にはそこで生を営む動植物にも、それぞれ特色があります。
そして、県内には国立公園、国定公園、県立自然公園があり、九州自然歩道が整備されています。つまり、本県は身近に自然を満喫できる環境があるといえます。
質問に先立ち、委員長、あらかじめ「福岡県内の自然公園および九州自然歩道」について資料要求しておりますので、委員会配付のお取りはからいをお願いいたします。
▶自然環境課
(※資料配布)
▶後藤香織
この資料を見ますと、県内の自然公園は各所に存在しています。私の住む早良区にも脊振雷山(せふりらいざん)県立自然公園があり、山頂からは美しい山の景色と玄界灘を一望することができます。
そして、こうした県内に点在する自然公園は九州自然歩道で結ばれていることがわかります。これだけ膨大な面積、長いルートがあるということは、利用者の利便に要する施設、例えば、トイレや休憩施設などがあると思います。
そこで質問ですが、これらの自然公園および九州自然歩道に設置されている施設の日頃の管理はどのようにされてきたのでしょうか。
▶自然環境課
県は、自然公園の利用者が安全・快適に利用できるよう、東屋、トイレ、野営場などの施設を昭和37年から整備している。
また、九州自然歩道についても案内板、標識、木製階段などの施設を昭和50年から整備している。
その後、自然公園及び九州自然歩道に整備した施設については、経年劣化が進んだ施設から計画的に再整備を行なってきている。
清掃や草刈りなどの維持管理については、自然公園の施設及び九州自然歩道が所在する市町村などに委託し実施している。
▶後藤香織
限られた予算の中で、計画的に執行されてきたことが分かりました。今後も利用者が安全、快適に利用できるように計画的な維持管理、そして必要に応じて再整備をしていただくようお願いします。
さて近年、世界的にも環境問題がクローズアップされています。
県内でも、平成29年7月九州北部豪雨や昨年も豪雨災害が発生し、本年8月にも大雨が続き、台風第17号も本県を襲いました。
先ほど少し触れた脊振雷山県立自然公園に含まれる福岡市早良区板屋地区は、土砂災害警戒地域に指定されており、大雨の度に避難指示や避難勧告が出される地域でもあります。
このように自然災害が続く中、自然公園や九州自然歩道でも施設に被害が生じているのではないでしょうか。
そこで質問します。自然公園、九州自然歩道に被害が生じた場合どのように対応されているのでしょうか。利用者の安全にかかわることですので、的確な対応が求められると思いますが、お答えください。
▶自然環境課
大雨や台風などの自然災害により、施設の損傷が生じた場合には、市町村や利用者からの通報に基づき、被害状況を把握したうえで、速やかに復旧を行っている。
近年、自然災害による被害は、県内の自然公園に県が整備した施設においては発生していないが、九州自然歩道においては、昨年7月の豪雨により筑紫野市及び嘉麻市の自然歩道の標識や木柵に損傷が生じた。
こうした災害に伴う被害復旧については、現地調査を行って被災状況を把握した後、ただちに国の自然環境整備交付金を活用して、施設の早急な復旧を図った。
▶後藤香織
対応については、わかりました。
自然に囲まれた山の中での対応となると思いますので、大変でしょうが、よろしくお願いいたします。
環境部においては、利用者のことを考えて対応をしているわけですから、できるだけ多くの人に利用していただきたいと思います。
そこでお尋ねします。
自然公園及び九州自然歩道の利用促進のために、県はどのような取り組みを行ってきたのでしょうか。
▶自然環境課
県民に自然公園に関心を持っていただくとともに、利用の促進を図るため、野草観察会など県民が参加して自然に親しむイベントの開催や、滞在型の利用を図るための宿泊施設やキャンプ場の運営などの取り組みを行っている。
九州自然歩道においても、地点間の距離や時間、周辺の見どころといった情報を記載したマップを作成し、市町村や希望者に配布するとともに、県ホームページからダウンロードできるようにしている。また、県のTV広報番組や登山に関する情報誌への掲載を通じ九州自然歩道の魅力を発信している。
また、自然公園内や九州自然歩道沿線の市町村の観光情報を盛り込んだ案内板の設置や、外国人利用者のため二カ国語表記の案内板や標識などの整備にも取り組んでいる。
▶後藤香織
様々な取り組みをして、利用促進をしているということがわかりましたが、外国人利用者にむけては、現状では二カ国語表記ということです。
登山を目的に日本を訪れる観光客も増えているそうですので、表記の言語を増やしても良いのではないかと思います。
では、その利用促進の取り組みによって、県内の自然公園及び九州自然歩道の利用状況はどうなっているのかお示し下さい。
▶自然環境課
県内の自然公園及び九州自然歩道の利用状況については、
①自然公園は総面積88,000ha、九州自然歩道は総延長が261kmあり、広大で長距離である。
②自然公園の区域には農地や宅地などがあり、九州自然歩道には車道や生活道路も含まれてることから、利用者が自然公園や九州自然歩道の利用者とは限らない。
③利用にあたってどちらも届出もなく、また、どこからでもアクセスできるということから、その利用者数を正確に把握することは難しいところである。
環境省が取りまとめる自然公園や自然歩道の利用者数においても、正確に把握することは難しいため、関係市町村の観光入込客数に一定の比率を乗じて算出した数を推計値として算出している。
これによると、県内の自然公園の利用者数は平成27年が53,119千人、平成28年が55,595千人、平成29年が56,660千人であり、九州自然歩道の利用者数は、平成27年が4,358千人、平成28年が4,500千人、平成29年が4,658千人となっており、増加傾向にある。
▶後藤香織
利用者数は推計値ということですので、もっと詳しく調べる必要があると思いますが、推計の利用者数は増えている、つまり、県民の皆さんが自然に触れる機会は増えていると理解しておきます。
しかし、その一方で、私の周りの最近の子ども達を見ていると、近年の夏の猛暑や、少子化も影響しているかと思いますが、外で遊ぶことが少なくなり、自然と触れあい、親しむ機会が減っているように感じます。
幼少期の自然との触れあいは、将来、地域の環境問題に関心を持つきっかけにもなります。
子ども達の自然を大切にする心を育み、今の環境を少しでも良くする心を持つための手段の一つとして、自然公園や九州自然歩道を活用した取り組みや情報発信をすすめていくことが必要だと考えます。
そこで、今後どのように取り組んでいこうと考えておられるのか、課長の前向きな考えをお聞かせください。
▶自然環境課・課長
委員のご指摘のように、最近の子どもたちは外で遊んだり自然に触れ親しむ機会が少なくなっているように感じているが、自然を大切にする心を育むためには、子どもの頃から自然と触れ合う機会をもつことが何よりも大事であると認識している。
県では、これまで、子ども達が自然と触れあう機会として、身近にいる動植物をガイドブックを見ながら探す「生きもの見つけ隊」や、水生生物の観察を通じて自然保護の大切さや生物多様性を学習する「水辺教室」などを開催してきた。
また、自然の美しさや大切さ、それを守るために自ら出来ることを学んでもらうため、環境副読本「みんなの環境」を作成し、県内の小学校5年生に教材として配布している。
今年度、新たな取組みとして、九州自然歩道のうち小学生でも歩くことができるような入門コースを選定し、県のホームページに掲載して情報発信することとしている。
併せて、これらのコースを使って親子で参加していただくハイキングを開催することにより、子ども達が自然に触れ合える機会を作り出し、子ども達の自然保護の意識の醸成につなげたいと考えている。
▶後藤香織
子どもたちにとって、自然環境保護の意識の醸成につながる取り組みは今後ともぜひ積極的に行っていただきたいと思います。そのためにも、まずは自然のありがたさを、私たち県民一人一人が理解することが不可欠です。
そして、その素晴らしい自然は、自然公園、九州自然歩道のように、実はすぐ足元にあるということをしっかりと情報発信していくことが基本となるのではないかと思います。
そこで最後に部長に質問いたします。県内の自然公園、九州自然歩道の利用促進を通じた自然保護意識の醸成をどう図っていくか、その決意をお聞きします。
▶自然環境課
私たちの暮らしは、動植物から食料や医療品の原料を得たり、ミツバチ等の昆虫が農作物の受粉を担うなど、自然の恩恵によって成り立っている。また、自然と触れ合うことにより精神的・心理的な充足感を得ることができる。
こうした自然の大切さを県民の皆さんが理解し、また、自然と触れ合う場として、先ほど課長が説明したように、
県内に自然公園や九州自然歩道を整備しており、これまで自然観察会の開催や、ルートマップの作成、マスコミを利用した情報発信などに取り組んできたところである。
今後は、より多くの県民の皆さんに、自然公園や九州自然歩道の利用を通して、自然保護の意識を高めていただけるよう、施設の計画的な整備を行うとともに、市町村や関係団体と連携した広報活動の強化に取り組んでまいる。
▶後藤香織
終わります。
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