2021年9月議会における、後藤香織の一般質問の内容です。
2021.9.22「投票率向上の取組について」
▶後藤香織
みなさん、こんにちは。民主県政クラブ県議団早良区選出の後藤香織です。
本日は、コロナ禍での投票率向上の取組について、選挙管理委員会委員長にお聞きします。
今私たちの目下の課題といえば、新型コロナウイルス感染症の対策です。
しかし、皮肉にも、その新型コロナウイルス感染症が政治に興味を持つ方を増やすきっかけとなりました。政治というものは、私たちの生活とつながっていることを改めて実感しております。
そんな中、皆さまご存じの通り、来月10月21日には、衆議院議員の任期満了となり、コロナ禍の中、総選挙が行われます。
現在、新型コロナウイルス感染症の新規陽性者数は、減少傾向にありますが、一時期、本県でも宿泊療養者、自宅待機者等が併せて約1万人程度となりました。
公職選挙法では、不在者投票ができる施設に指定された病院に入院中の方は投票ができますが、宿泊療養者、自宅待機者等の皆さんは、療養期間と選挙が重なった場合、外出自粛要請等を受けることから、投票できない恐れがあるとして、その投票機会を確保するために、本年6月「特定患者等の郵便等を用いて行う投票方法の特例に関する法律」いわゆる「特例郵便等投票法」が公布・施行されました。
これにより、投票機会の確保が期待される一方で、不正についての懸念を持つ声も聞こえてきます。
そこでまずはじめに、この特例郵便等投票法の概要について、お聞きします。その上で、不正防止策について併せてお聞きします。
▶選挙管理委員会委員長
この法律は、新型コロナウイルス感染症により自宅や宿泊療養施設等で外出自粛要請を受けた、いわゆる「特定患者等」の投票が困難である状況を踏まえ、療養先から郵便等を用いて行う投票方法について、公職選挙法の特例を定めたものであります。
対象者は、各種選挙での投票用紙の請求時に、外出自粛要請等の期間が、その選挙の公示又は告示の日の翌日から、選挙当日までの期間にかかると見込まれる「特定患者等」であります。
特例郵便等投票の投票用紙については、市区町村選管に対し、選挙期日の4日前までに請求する必要があります。
投票用紙請求書の郵送等及び記入済みの投票用紙の郵送等の際は、感染防止対策のため、ファスナー付きの透明のケースに封入するなどの措置を講じることとされています。
また、投票用紙を二重に交付する等の不正防止のため、保健所に「特定患者等」であることの速やかな情報提供を求めるなど、本人確認の徹底を図り、さらに、投票所の責任者である投票管理者と、開票所の責任者である開票管理者が二重にチェックをすることで、適正な管理執行ができます。
▶後藤香織
宿泊療養や自宅待機者等の皆さんは、療養することがまず一番ではあるものの、コロナの症状で苦しんでいる方が少しでも投票しやすくなるよう、利用しやすくすることが、投票機会の確保、投票率の向上につながると考えます。
療養者の利便性の向上のため、請求・投票手続きを施設がまとめて執り行うことや、自宅待機者等へは、宅配便業者を利用することなどが考えられますが、本県ではどのような体制で行われるのでしょうか。
そこで2点目に、宿泊療養施設や自宅待機者等の方は、どのように投票することができるのか、その手続きにおいて、県はどういった支援するのか、お聞きします。
▶選挙管理委員会委員長
施設で投票するには、まず、宿泊療養者が、投票用紙請求書を入手する必要がありますが、これについては、選挙人名簿に登録されている市区町村選管に対して直接連絡する方法のほか、宿泊療養施設の事務従事者に依頼する方法があります。
次に、投票用紙請求書に必要事項を記入の上、宿泊療養施設の事務従事者に郵送等を依頼し、投票用紙を取り寄せます。
投票用紙が届いたら、候補者名や政党名等の必要事項を記入し、所定の封筒に封入の上、再度事務従事者に郵送等を依頼することで投票が終わります。
利便性の向上については、投票用紙の交付手続等が円滑に進むよう、県選管・県コロナ対策本部連名で、各市区町村選管及び保健所設置市に通知しています。
また、県選管が管理執行する選挙では、宿泊療養者が速やかに投票用紙を請求できるよう、各施設に投票用紙請求書や送付用封筒等の諸物資を配備しています。
自宅療養者は、宿泊療養者と同様に、郵便局以外の宅配便業者を利用して、投票用紙等の交付手続を行うことが可能であります。
▶後藤香織
6月の法施行後に行われた選挙をみると、東京都議会議員選挙では、当時、宿泊・自宅療養者は2,000人を超えていましたが、この特例郵便等投票を行った宿泊・自宅療養者は80人、7月の兵庫県知事選、8月の仙台市長選などは、利用した宿泊・自宅療養者はゼロだったとのことです。
そこで3点目に、他県での特例郵便等投票を行った利用者が少ない実態を踏まえ、本県では、次期衆議院議員総選挙では、どのようにこの新制度を周知し、取り組んでいくのか、お聞きします。
▶選挙管理員会委員長
県選管としては、特定患者等の投票機会の確保のため、県コロナ対策本部等と連携し、特例郵便等投票の制度を周知することが重要であると考えています。
このため、宿泊療養施設における療養者に対しては、療養されている各部屋に制度について記載したチラシを備えつけていただくとともに、療養者が訪れる、弁当の配膳場所にはポスターを掲示することとしています。
また、自宅療養者に対しては、パルスオキシメーターを貸し出す際に、同様のチラシを配付することなどにより、制度の周知を図ってまいります。
さらに、市区町村選管に対しては、先ほどの通知を発出するとともに、投票所入場券への記載や広報誌への掲載、広報車でのアナウンス等を働きかけてまいります。
県選管としても、県ホームページへの掲載や選挙公報、県の公式SNS等により周知を図ってまいります。
▶後藤香織
特例郵便等投票の手続きについては、投票用紙や封筒を選挙管理委員会に請求する際にも、パソコンで印刷し、透明のファスナー付きケースに封入する必要があるなど、手続きが非常に煩雑だとの意見も聞かれました。
そこで4点目に、この他にも投票に関連する一連の行動で、手続きの簡素化、感染拡大防止の観点からオンラインで行えるものはないのでしょうか、この機にオンライン化を進めるべきではないかと考えますが、見解をお聞きします。
▶選挙管理委員会
インターネット投票や、不在者投票における投票用紙請求手続等のオンライン化は、手続の簡素化、感染拡大防止等の効果が期待されます。
その一方で、本人確認の確実な実施、投票の秘密の確保、セキュリティ対策などの課題が、国の研究会において指摘されているところであります。
国では、この指摘を受け、在外投票におけるインターネット投票について、具体化に向けた検討を進めています。
なお、国政選挙における不在者投票の投票用紙請求手続については、本年4月から、国が運営するウェブサイト「マイナポータル」を通じて、オンライン申請ができるようになっています。
県選管では、市区町村選管と連携し、オンライン申請の周知を図るとともに、インターネット投票に係る国の動きを注視してまいります。
このほか、全国の都道府県選管で構成される都道府県選管連合会での意見交換を通じて、時代の要請に合わせた制度改正要望について検討してまいります。
▶後藤香織
この項の最後に、候補者に対するハラスメント対策についてお聞きします。
2018年に「政治分野における男女共同参画の推進に関する法律」いわゆる「候補者男女均等法」が議員立法により成立、本年6月に改正され、セクハラやマタハラの防止策を求める内容などが新設され、県の責務が強化されました。
16日の我が会派の中嶋玲子県議の代表質問でも知事に対策を求めたところです。
内閣府が本年3月にまとめた「女性の政治参画への障壁等に関する調査研究」では、6割の女性がハラスメントを経験しているとの結果が出ており、有権者からの「有権者ハラスメント」に悩んでいる実態も明らかになっています。
法改正の主旨に基づいた、男女を問わず、立候補や政治活動をしやすい環境整備への対策強化が急務です。
また、ハラスメント等の社会的障壁が減り、多様な方が立候補しやすくなれば、有権者にとって選択肢が増え、投票率向上の一助にもなると考えます。
そこで5点目に、選挙や政治活動におけるハラスメントの実態についてどうお考えか、また、防止に向けた周知・対策を今後どのように行うのかお聞かせください。
▶選挙管理員会委員長
政治分野における男女共同参画の推進、そのためのハラスメント防止は、大変重要なことであると考えています。
ところで、選挙管理委員会は、地方公共団体の長から独立の立場にある合議制の行政委員会であり、公職選挙法や政治資金規正法等の法令に基づく各種事務を行う行政機関であります。
具体的には、投票・開票、当選人の決定等、選挙の公正な管理執行に関する事務や政治資金収支報告書の受理に関する事務を行っています。
選挙の管理執行に関しては、政治的中立性の確保が求められています。
このため、選挙管理委員会は法令を厳格に遵守し、その事務を執行する責務がある一方、法令に規定されていないことはできません。
したがって、ハラスメント対策については、内閣府をはじめとする選管以外の行政機関に対応していただく課題であると考えています。
▶後藤香織
ご答弁を受け、要望をいたします。
選挙管理委員会委員長からは、ハラスメント防止については重要なことと認識しているものの、行政機関で対応していただく課題である、とのことでした。
私は、政治分野の男女共同参画の推進について、県議会議員になって初めての一般質問でも取りあげ、誰もが立候補しやすい環境をつくるべきと、これまでも取り組んできました。
ぜひ都道府県選管連合会などで、こういった意見がでたこともご報告いただき、選管としてできることはないか、ご検討いただきたいと思います。
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