2021年12月議会における、後藤香織の一般質問の内容です。
2021.12.10「放課後の子どもたちの命と生活を守る取組の強化について」
▶後藤香織
みなさん、こんにちは。民主県政クラブ県議団 早良区選出の後藤香織です。
放課後の子どもたちの命と生活を守る取組の強化についてお聞きします。
放課後児童クラブいわゆる学童保育は、児童福祉法に規定されている子育て支援事業として、保護者の就労等により放課後の時間に、その適切な保護を受けられない小学生の児童の安全を確保し、遊びや勉強など生活の場を提供することにより、児童の健全な育成を助長する目的として、主に、市町村等が実施主体となり運営されています。
小1の壁、小4の壁をなくし、共働き家庭を支えることは少子化対策にもつながり、放課後の子どもたちの命と生活を守るためにも、その保育の質の充実が求められています。その観点から、放課後児童クラブの現状について伺っていきます。
まずはじめに、放課後児童クラブについて、県は市町村に対し、どのような支援を行っているのか、お聞きします。
▶知事
県では、市町村に対し、クラブの施設整備や運営に必要な経費を助成するとともに、生活保護世帯及び市町村民税非課税世帯に対する利用料減免に必要な経費を県単独で助成している。
また、県は、放課後児童支援員を増やすため、「放課後児童支援員認定資格研修」を県内4地区において、毎年度10回程度実施し、これまでの6年間で5,226人を認定している。
さらに、実務経験5年以上の放課後児童支援員等を対象として、発達障がいや虐待を受けた児童といった特別な配慮を要する子どもに対する支援方法などを学ぶ研修を、県内4地区において計8回開催し、職員の資質向上を支援しているところである。
▶後藤香織
共働き家庭の増加を受け、放課後児童クラブの登録児童数は年々増加し、2020年度は全国で130万人と過去最高となりました。
2018年に国が新たに策定した「新・放課後子ども総合プラン」では、放課後児童クラブについて2021年度末までに約25万人分を整備し、待機児童解消をめざす、としています。
そこで2点目に、本県の放課後児童クラブの登録児童数、待機児童数の現状について5年前と比較して、お示しください。その上で待機児童が生じている場合、その要因と解消に向けた取組についてお聞かせください。
▶知事
今年5月1日現在、本件の放課後児童クラブの登録児童数は62,269人、待機児童数は264人となっており、5年前の平成29年度と比較すると、登録児童数は3,715人の増、待機児童数は179人の減となっている。
この待機児童数には、宅地開発による利用児童の急増によるものや、夏休みなどの長期休暇中の利用を見越した児童の数が含まれている。
このため、利用児童が増加傾向にある市町村に対しては、施設整備の前倒しを、また、長期休暇中に利用児童が増加する市町村に対しては、小学校の空き教室を活用した臨時クラブの開設や、国や県の助成制度の活用などを助言し、取組を促しているところである。
この結果、今年10月現在の、県内の待機児童数は39人となっている。
県としては、待機児童の解消に向け、市町村のニーズに対応しながら支援を続けていく。
▶後藤香織
厚生労働省が作成した「放課後児童クラブ運営指針」では、支援の単位は「おおむね40人以下」となっています。
入所児童が増える中で、大規模化はやむを得ないとは思いますが、安易に容認した状態は、学童保育の質の低下、安全性の低下にもつながりかねないと危惧しています。
そこで3点目に、県内の支援単位数と、そのうち基準の「おおむね40人」を明らかに超える51人以上となっている支援単位の数とその割合、そして、その状況に対する認識をお示しください。
▶知事
放課後児童クラブにおいては、一つの支援の単位を構成する児童の数はおおむね40人以下、支援の単位ごとに配置する職員の数は2名以上とされている。
今年5月1日現在、県全体の支援の単位の数は1,602となっており、このうち51人以上の児童がいるものは232で、全体の14.5%となっている。
これは、待機児童を増やさないよう、利用者が見込みを上回っている場合に、職員を増員することで、おおむね40人以下の基準を超えて児童を受け入れていることが考えられる。
県としては、児童への適切な配慮や安全確保を図る観点から、市町村が条例により定めている基準に沿って運用されることが望ましいと考えている。
このため、市町村の実状に応じて、空き教室を活用した臨時クラブの開設や施設整備の前倒しなどについて、県から出向き、取り組みを促している。
▶後藤香織
次に、保育の質の向上ための放課後児童支援員等への研修について、お聞きします。
この放課後児童支援員については、県が認定研修を実施し、修了した方を放課後児童支援員として認定しています。
支援の単位ごとに2名以上の放課後児童支援員が必要とされ、1名は補助員に代えても良い、とされています。また、補助員については、無資格でも従事可能となっています。
しかし、放課後児童クラブは、異年齢の児童が集まり、最近では「特に配慮を必要とする児童」も増加しており、無資格では対応が難しいのではないかと推測します。
先に述べた運営指針においても「放課後児童支援員等は、研修等を通じて、必要な知識および技能の習得、維持および向上に努める」とされており、新制度でも、教育・保育を行う者や地域子ども子育て事業に従事する者の確保と資質の向上は、県の責務とされています。
そこで4点目に、放課後児童支援員数と補助員数をそれぞれお示しください。併せて、補助者へ保育の質を高める研修の機会が必要と考えますが、どのような研修の機会があるのかお聞きします。
▶知事
県内の放課後児童クラブに勤務する職員は、今年5月1日現在で、放課後児童支援員3,699人、補助員2,400人となっている。
補助員に対する研修については、児童福祉法に基づき市町村が定めた条例において、クラブの実施主体である市町村が、研修を行うこととされている。
また、県では、学童保育協会や学童保育連絡協議会といった関係団体が開催する資質向上研修について、市町村に対し情報提供を行い、参加を促しているところである。
▶後藤香織
次に、子育て支援員についてお聞きします。
子育て支援員とは、都道府県などが実施する研修を修了し、子育て支援分野の各事業等に従事する上で、必要な知識や技能等を習得したと認められる方のことで、受講修了者は、全国共通で子育て支援員として認定されます。
この子育て支援員研修については、保育所やファミサポなどで保育に従事する「地域保育コース」、地域子育て支援拠点などで相談支援に従事する「地域子育て支援コース」、乳児院・児童養護施設などで補助的支援を行う「社会的養護コース」、放課後児童クラブにて補助員となる「放課後児童コース」の大きく4つのコース、さらに細分化すると全部で8つの型があります。
しかし、本県では「地域保育コース」と「地域子育てコース」の2コースのみしか受講ができません。
例えば、九州では、鹿児島県では全てのコースが開設されています。
そこで5点目に、本県で子育て支援員研修を2コースしか実施してない、その経緯と、子育て支援員研修の実施状況についてお聞きします。
その上で、これまでの受講ニーズを踏まえ、その必要性を県としてどのように判断するのかお聞きします。
先ほど述べたように、放課後児童クラブの補助員は無資格でも従事できる一方、放課後児童クラブの補助員からはその対応の難しさも聞いています。
補助員の知識の習得や技能の向上のため、「放課後児童コース」を受講できたら、大きな支援になります。
また、放課後児童クラブで補助員として働く方は、子育てが一段落した女性が多く、そういった女性たちが全国で通用する「子育て支援員」を取得することは、女性の再就職支援やキャリアアップ、離職防止にもつながる大変意義深いものと考えます。
▶知事
子育て支援員は、平成27年度の子ども・子育て支援法の施行に伴い実施されることとなった小規模保育をはじめ、多様な子育て支援業務の担い手となるものである。
現在、本県では、子育て支援員研修の①「地域保育コース」、②「地域子育て支援コース」、③「社会的養護コース」、④「放課後児童コース」の4つのコースのうち、①「地域保育コース」と②「地域子育て支援コース」の2つを実施している。
この2コースは、研修の修了が小規模保育、家庭的保育、ファミリー・サポート・センター等の職員として業務に従事するための要件となっており、人材確保上の必要から実施しているものである。
これまでの研修修了者数は、地域保育コース2,309人、地域子育て支援コース137人となっている。
修了者の勤務先となる地域型保育やファミリー・サポート・センターなどが近年増加しており、今後もこれらの研修を実施する必要があると考えている。
その他の2コースは、児童養護施設や放課後児童クラブなどの補助職員に対する研修であるが、研修の修了が、職員として業務に従事するための要件とまではなっていないため、実施してきていない。
▶後藤香織
そこで6点目に、特に、放課後児童コースについては、その必要性を踏まえ、開設をすべきと考えますが、知事の見解をお聞きします。
▶知事
議員から、④「放課後児童コース」の開設について提案があったが、放課後児童クラブに配置する職員は、放課後児童支援員が基本であることから、県としては、一定の実務経験のある補助員に対し、知識や技能の習得、キャリアアップにつながるよう、「放課後児童支援員認定資格研修」の受講を促してまいりたいと考えている。
子育て支援員研修が開始された27年度以降、補助員に対する新たな研修の実施に関し、保護者と放課後児童クラブの職員により構成されている学童保育連絡協議会や市町村から要望もなされていないが、改めて市町村や関係団体に対し、意見を聞いてみたいと考えている。
▶後藤香織
この項の最後に、福岡県警察における取組についてお聞きします。
本県の性犯罪の被害の現状をみると、年代別では10代が最も多く、学識別では、社会人に次いで、小学生以下が2番目に被害にあっており、中学生、高校生、大学生よりも多くなっています。
発生時間帯においても15時~17時の児童の帰宅時間の発生が目立ちます。
こういった、児童の登下校を狙った状況は全国でも同様に起きています。
県教育委員会では、対策として、本県独自に「幼児児童生徒の安全確保に関する指針」を作成して、
①防犯教室等の取組
②安全マップの作成
③保護者や地域ボランティアによる見守り活動の実施
④通学路の点検・整備
⑤集団登下校の実施
などを求めており、2020年度の小学校においては、ほぼ100%実施されているとのことです。
また、2018年度に文科省から発出された「登下校防犯プラン」では、登下校時における防犯対策に関する「地域連携の場」の構築が求められていますが、本県においては、既に全市町村で構築が完了しているとのことでした。
このように、本県のほとんどの地域・学校において、防犯対策に取り組まれている現状にあります。
私自身も小学校のPTA役員として、地域の見守り活動など携わり、多くの地域の方から支えられていることを実感しているところです。
そこで、福岡県警察では、教育委員会、地域との連携など、子どもたちが放課後を安全に過ごすために、どのように犯罪を未然に防ぐ対策をしているのか、警察本部長にお聞きします。
▶警察本部長
県警察としては、子どもを犯罪から守るためには、「登下校防犯プラン」等に基づき、登下校時間帯における警戒活動の強化をはじめ、防犯ボランティア等による見守り活動、さらには子どもの自己防衛能力の向上など総合的な取組が重要であると認識している。
具体的には、子どもを対象とした犯罪の発生状況等を踏まえた登下校時間帯における警察官による重点的なパトロールや不審者に対する職務質問を積極的に実施し、警戒活動を強化している。
また、県内すべての小中学校と犯罪等の発生状況や不審者情報を共有する体制を確立するとともに、その情報を保護者や防災ボランティア等にもふっけい安心メール等を活用して配信するなど、子どもの見守り活動等の防犯対策が効果的に行われるよう努めている。
さらには、子どもが危険を予測・回避する自己防衛機能を向上させるため、小学校や保護者、防犯ボランティア等と連携し、児童自らが通学路等の危険箇所を学ぶ「地域安全マップ」の作成など参加型の防犯教育を推進している。
県警察としては、今後とも教育機関などと連携し、子どもを犯罪から守るための活動に全力で取り組んでいく。
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