2021年12月議会における、後藤香織の一般質問の内容です。
2021.12.10「「情報Ⅰ」正規教員の配置体制と授業支援について」
▶後藤香織
みなさん、こんにちは。民主県政クラブ県議団 早良区選出の後藤香織です。
「情報Ⅰ」正規教員の配置体制と授業支援について、教育長にお聞きします。
高校では、来年度2022年度の新入生から、新しい高等学校学習指導要領に基づき、プログラミング、ネットワーク、データベースの基礎等について学ぶ「情報Ⅰ」が共通必履修科目になります。
文科省「高等学校情報科担当教員の配置等に関する現状について」によると、2020年5月1日時点で、47都道府県と19政令都市のうち、福岡県を含む48道府県・政令都市で、情報に関する正規の免許を持たない教員が授業を担当している公立高校があることがわかっています。
さらに、全国では、高等学校教諭普通免許状「情報」を保有している9,926人のうち、情報科目を担当していない教員は約61%の6,064人と多く存在している一方で、情報科目を担当する教員5,072人のうち、約24%の1,210人が「情報」免許状を持っておらず、臨時免許状の授与を受けたり、免許外教科担任の許可を受けている、といういびつな実態が明らかになりました。
そこで、まずはじめに、本年度、本県で情報免許状を保有している正規教員は何人で、そのうち、情報科目担当教員数はどのくらいかお示しください。
また、臨時免許状の授与は本県ではないと聞いていますが、免許外許可担任の数をお示しください。
その上で、この現状に対する教育長の認識をお聞かせください。
▶教育長
今年度、県立高等学校、中等教育学校においては、381人の正規教員が情報免許状を持っており、そのうち117人が情報科目を教えている。なお、残る264人は他教科の授業を担当している。
また、免許外教員担任は12人で、情報科目の指導に当たっている教員の約1割である。
本来は、当該教科の免許状をもった教員が授業を担当すべきと考えるが、情報については、免許状を持った講師希望者が少なく、非常勤講師の確保や行内の免許状保有者へ割振りが困難な一部の学校で、やむを得ず免許外教科担任を許可し、指導に当たらせている状況である。
▶後藤香織
この情報担当教員の現状を受け、文科省は2021年3月23日、「情報免許状保有者が指導にあたることができるよう、適切に配置する」こと、「計画的な採用等、情報免許状保有率向上の取組を進める」こと、「免許外教科担任の許可、臨時免許状の授与を安易に行わない」ことなどを、全国の教育委員会に通知しました。
先月11月29日にも、この通知を踏まえ、来年度からの新学習指導要領の円滑な実施に向けて、共通教科情報科担当教員の専門性向上に努めるよう、通知されています。
そもそも、情報は、2003年度に必履修科目になり、すでに18年経っているにも関わらず、教員不足、指導体制が不十分ではないかと言われており、後手後手の対応になっているように感じてなりません。
2022年度の本県の教員採用予定者数は、情報科は2名となっていますが、果たしてこれで十分といえるのでしょうか。
全国では、情報科担当教員を新たに配置することで、別の教科の教員を一名減らさねばならなくなるなどの理由から、免許外教科担任などで対応していることが多いと聞きました。
そのため、情報科担当教員をきちんと配置したいと思っても、教職員定数の関係から、各学校の自助努力ではなかなか難しいのが現状ではないかと思います。
そこで2点目に、文科省の通知にもあるように、免許外教科担任、臨時免許状等ではなく、正規の情報免許状保有者が教科を担当すべきと考えますが、県教委として、今後どのような取組をしていくつもりか、採用計画も含めて、お聞きします。
▶教育長
教科情報は、情報と情報技術を適切に活用し、情報社会に主体的に参画するための資質・能力を育成することを目標としており、来年度から「情報Ⅰ」が必履修科目となるとともに、令和7年度大学入学共通テストから新たに出題されることが発表されたところ。
このため、「情報Ⅰ」の開設に当たっては、授業の待ち時間を適切に配分することで、情報免許状を持ち、深い専門的知識を有する教員が授業を担当するよう指導しているところ。
こうした各学校の指導計画や退職者等の見込みを考慮し、情報担当教員を継続的に採用するとともに、情報免許状を有する現職の教員を効果的に配置し、免許外教科担任の解消に努めてまいる。
▶後藤香織
2025年度以降の入学者選抜に係る大学入学共通テストに「情報Ⅰ」が新教科として加わることが決定し、国公立は全大学で「情報Ⅰ」を利用することが検討されています。
2021年7月28日のベネッセコーポレーションの調査結果では、高校教員が一番課題に感じているのは「大学入学共通テストへの対応」が42.3%、次に「指導ノウハウ(プログラミング、データサイエンスなど)」が22.6%、「指導教員の不足」が12.0%という結果となっています。共通必履修科目となり、内容や水準も高度化する「情報I」をどう指導していくかが課題となっています。
本県の高校生が、「情報Ⅰ」の指導や学習の状況によって、自らの進路の選択肢が限定されることはあってはならず、大学入学共通テストにおいても不利になるようなことがあってはなりません。
県教育委員会には、県立高校の設置者として「情報Ⅰ」を適切に指導できる体制を整える責任があり、指導の内容・水準についても高めていけるような、しっかりとした対策が必要だと考えます。
そこでこの項の最後に、情報担当教員の授業への支援について、今後、県教委としてどのように対応していくのか、お聞きします。
▶教育長
「情報Ⅰ」の主な内容の一つである「プログラミング」の授業の支援として、今年度、県立高校全校の情報担当教員に対して、嘉穂総合高校を研究指定校として令和元年度から開発に取り組んだ学習モデルに関する研修を行うとともに、ICT活用のための実技講習も併せて実施している。
来年度からは、「情報Ⅰ」において内容が高度化する「ネットワークとデータ活用」及び「ウェブページと情報デザイン」についての研修を実施するなど、引き続き情報担当教員の授業への支援を行い、授業の質の向上を図ってまいる。
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