2022年6月定例会における、後藤香織の代表質問の内容です。

▶後藤香織: 登壇

皆様、こんにちは。民主県政クラブ県議団 早良区選出の後藤香織です。

今回、会派を代表して、質問の機会を頂きましたことに、岩元会長をはじめ先輩議員の皆様に、感謝とお礼を申し上げます。

知事におかれましては、就任2年目となりましたが、新型コロナウイルス感染症、ロシアのウクライナ侵攻による物価高騰など、様々な課題が山積しています。
それらの課題への迅速な対応は元より、公約実現に向け、県民生活向上のため、リーダーシップを発揮することを期待申し上げます。

本日は、私の地元の早良区の皆様や友人達が傍聴や、インターネットで見て頂いています。
しっかり大役を務めたいと思いますので、どうぞ宜しくお願い申し上げます。

 

▶後藤香織: 新型コロナウイルス感染症への対応について

まず冒頭、新型コロナウイルス感染症への対応についてお聞きします。

本県では、6月1日に県独自の福岡コロナ警報が解除されました。
国としても、一部マスク不要や、明日から外国人観光客の受入れを再開するなど、制約の緩和が進んでいます。

今後、感染者数が再び増加へ転じるのか、それとも収束に向かうのか、状況を見極めていく必要があります。そこで、その対応を知事にお伺いいたします。

はじめに、4月26日の全国知事会での発言についてお聞きします。

知事は全国知事会において「新型コロナの感染症法上の取扱いについて、「2類相当」か「5類」かの二択ではなく、例えば予防接種法上のA類疾病に位置付け、公費負担のもとで、一定の年齢層については定期的な予防接種を勧奨するなど、新たな在り方を検討していく必要があるのではないか」と発言されています。

現状では、新型コロナウイルス感染症に対しては、未だ特効薬がなく、感染者も高止まりの傾向です。
そのため、コロナ対策は一定の根拠に基づきながら、状況を見極めつつ引き続き万全の体制を期す事が大切だと思います。

そこで、この発言は対策を緩める様にも聞こえますが、どの様な根拠に基づき、どの様な真意でご発言されたものなのか、お答えください。
また、発言後どのような取扱いがなされているのかお示しください。

 

▶知事答弁

全国知事会議が開催された今年4月頃、重症化率が低いオミクロン株の特性や治療薬の確保が進んだことなどを踏まえ、医療現場のひっ迫回避、保健所の負担軽減、社会経済活動の回復といった観点から、現在の「2類相当」から「5類」へ変更するべきとの議論があった。

しかし、仮に「5類」に変更されると、医療費のうち、PCR検査にかかる自己負担分だけでも、3割負担であれば約3000円が発生する。また、新たに承認された治療薬を使用すれば、高額な負担が生じる。県民の皆様が、必要な検査や治療を経済的側面からためらうことで、重症化や感染拡大を引き起こすようなことがあってはならない。

また、ワクチン接種について、風疹やポリオと同様に、予防接種法におけるA類疾病に位置づけ、公費負担の下で、一定の年齢層に対し、接種を勧奨する制度とすることも考えられる。単純に「2類相当」か「5類」かの二択ではなく、こうした制度など幅広い観点から、新たな仕組を国に検討していただきたいとの考えを、全国知事会議の場で申し上げた。

この私の発言を受け、「感染症法上の位置づけ、公費負担のあり方について検討すること」が全国知事会の緊急提言に盛り込まれ、国に提案されたところである。

 

▶後藤香織:新型コロナウイルス感染症の後遺症について

我が会派は、昨年12月定例会の代表質問で、新型コロナウイルス感染症の後遺症に関して質し、その後、県は後遺症に悩む方の相談窓口を開設しました。

この後遺症に関しては、ようやく問題視され、国立国際医療研究センターの「コロナ後遺症に関する疫学調査」では、発症後、2か月で48%、4か月たっても27%の患者で何らかの後遺症を認めたとの事です。

つまり本県では、これまで約43万人が陽性となっている事から、約11万6000人が4か月後も後遺症に悩んでいる計算になります。

そこで2点目に、県の相談窓口開設後の相談件数、及びその主な症状とその割合についてお示し下さい。

又、現在、県内374の医療機関がコロナ後遺症の診療可能な医療機関となっていますが、医療機関への紹介件数をお示しください。
その上で、その後も後遺症に悩む方に県としてどのような支援が必要か、考えをお示しください。

なお、後遺症に悩む人たちが多くいる事が周知されていない様です。それにより、職場で理解が得られず、悩んでいるケースなどもお聞きしています。
県民に対し、後遺症に関する理解が進むように、周知啓発されます様、この場を借りて要望しておきます。

 

▶知事答弁

県では、新型コロナの後遺症に悩む方からの相談に対し、看護師がその方の症状に応じて医療機関の紹介等を行う相談窓口を今年2月から開設している。5月末までに2,429件の相談があり、このうち約40%が息苦しさや咳などの呼吸器症状、約21%が倦怠感などの精神・神経症状、約13%が嗅覚・味覚症状を訴えている。

相談窓口では、症状に応じて後遺症の診療が可能な医療機関の紹介を行っており、5月末までの紹介件数は1,269件となっている。紹介を受けた医療機関では、症状に応じた検査・治療を行っているが、症状が重い場合や治療効果が見られない場合などには、より専門的な検査・治療が可能な医療機関につないでいただいている。

後遺症の実態に関しては未だ不明な点が多いものの、特徴的な症状やその頻度・持続期間等が徐々に明らかになってきている。このため、県では引き続き、後遺症に関する最新の知見について県ホームページや医療関係団体を通じて周知するとともに、24時間体制で相談に応じ、後遺症に悩む方を適切な医療につなげてまいる。

 

▶後藤香織:中小企業者に対する貸付金について

3点目に中小企業者に対する貸付金についてお聞きします。

コロナ対策の一環として県でも新たな貸付制度を設け、対応してこられました。
その貸付制度などの活用で、とりあえず廃業せずに現在に至っている中小企業者も多いのだろうと理解しております。

ウイズコロナ、ポストコロナの社会の構築が必要とは考えられるものの、折からの原材料の高騰に、ロシア軍のウクライナ侵攻も絡み、急激な円安、人手不足など経済回復を阻害する多くの要因も見受けられます。

このような中、中小企業者が借り入れた多額に上る借入金を、約定通りに返済することは難しいのではないかと想像できます。

そこで、現在の倒産件数と県制度融資において中小企業者から金融機関への返済が困難になった事で信用保証協会が代わって返済を行った代位弁済額はどうなっているのか、またそれらに対する知事の認識をお聞きします。

また中小企業者が抱えている借入金については、経済状況の動向を踏まえつつ、返済猶予、返済期間の延長などが必要と考えますが、県の対応を伺います。

 

▶知事答弁

福岡県内の倒産件数については、コロナ前は350件前後で推移していたが、これまでの各種施策の効果もあり、昨年度は230件と低い水準となっている。また、県制度融資における昨年度の信用保証協会による金融機関への代位弁済額は、約44億円となっており、コロナ前とほぼ同じ水準となっている。県としては、今後コロナ関連融資の据置期間が終了し、返済が始まる事業者も増えてくることから、引き続き景気の状況や企業の資金繰り等を注視していく必要があると考えている。

また、県制度融資においては、今年3月、ウクライナ情勢や原油価格の上昇等の影響も懸念されることから、返済期間や据置期間の延長といった返済条件緩和措置を、1年間延長した。具体的には、来年3月31日までに金融機関等の承認が得られれば、通常貸付期間10年、据置期間2年のところを、いずれも最長3年間延長できることとしている。併せて、金融機関や信用保証協会に対して、事業者からの返済条件変更の相談について、柔軟な対応を行うよう要請しており、今年4月から5月までの条件変更件数は、509件となっている。

 

▶後藤香織:火災による高齢者リスクと対応について

次に、火災による高齢者リスクと対応について伺います。

去る4月19日未明、北九州市小倉北区の旦過市場一帯で発生した大規模火災によって被災された皆さまにお見舞い申し上げますとともに、一日も早い復興をお祈りいたします。

さて、国の「令和2年版消防白書」によると、2019年の火災による死者数は、放火事件等を除いた建物火災で1202名であり、そのうち、65歳以上の方は842名と全体の約7割を占めています。

さらに81歳以上の死者数は、374名で全体の3割を超え、年齢が増加するにつれて死者数が著しく増加しています。
又、逃げ遅れが原因の死者数は568名で全体の47.3%にのぼります。

そこで1点目に、2019年に本県内で発生した火災による死者数についてお示しください。
又、火災による高齢者の死亡者数や割合をお示し頂いた上で、高齢者の火災リスクについて知事の認識をお聞かせください。

 

▶知事答弁

令和元年に、県内で発生した火災による死者数は40名である。そのうち、65歳以上の高齢者は32名で全体の8割を占めている。

高齢者は加齢による判断力や身体的能力の衰えにより、火災発生時に迅速な対応がとれず、逃げ遅れてしまうリスクが高いため、高齢者世帯に対しては、特に、火の取り扱いや早期避難の重要性、住宅用火災警報器の設置の必要性について啓発していくことが大事であると考えている。

 

▶後藤香織:住宅用火災警報器の設置率向上と適正な維持管理について

国は、住宅火災による死者数の増加や高齢化の進展を背景に2004年に消防法関係法令等を改正し、住宅用火災警報器の設置を義務付けました。

新築住宅については2006年から、既存住宅については市町村条例に基づき2009年から施行され、現在全ての住宅について設置が義務付けられています。
しかし、その報告義務や罰則等はなく、詳細な設置基準等も各市町村条例によって異なるのが現状です。

本県の住宅用火災警報器の設置率は、2021年6月の消防庁の調査によると、全国平均並みの82.7%ですが、住宅戸数の多い福岡市で91%、北九州市で87%と全体を大きく押し上げており、両政令市とその他の市町村の間で大きな差があります。

また、設置済みの火災警報器については、メーカー担当者や防災の専門家によると、その多くが電池式で、電池の寿命は約10年という事です。つまり2006年の法改正以降に設置された火災警報器の多くが電池切れであったり、経年劣化によって正常な動作をしない可能性が指摘されています。

さらに、電池切れを知らせる機能の有無など火災警報器の性能上の問題の他に、高所に設置されていて電池交換が困難であったり、特殊な電池で買替えが進んでいない等の報告がされています。

消防庁は、少なくとも年2回の火災警報器のチェックを推奨しており、現在では、多くの自治体の広報紙やホームページ等で火災警報器の電池交換の奨励や火災警報器の更新の紹介、消防隊による設置補助の案内が行われているところです。

そこでお聞きします。火災警報器の更なる設置率の向上と適切な維持管理に向け、県内市町村と連携して、広報啓発活動等の取組みを更に強化すべきだと考えますが、知事の考えをお聞かせください。

 

▶知事答弁

本県の住宅用火災警報器の設置率は、昨年6月時点で82.7%となっており、全国平均並みであるものの、消防本部の管轄地域ごとにみると5割台のところもあるため、未設置の世帯への働きかけを今後も進めていく必要があると考える。

一方、警報器には耐用年数があり、平成18年の法改正による義務化後に機器を設置した多くの世帯が交換時期を迎えている。このことから機器の点検や交換を適正に行っていくことも重要である。

こうしたことを踏まえ、県と各消防本部では、機器の設置や点検・交換を広く県民に促すため、令和元年度から毎年連携して、駅やコンビニのほか、県の庁舎等でのポスター掲示、メディアやSNS等を活用した情報発信などによるキャンペーンを実施しているところである。

今後、この取組に加え、春と秋の火災予防運動や県の総合防災訓練の際にも、消防本部と連携した周知活動を行うとともに、設置率が低い地域を管轄する消防本部に対しては、
自主防災組織等の地域コミュニティや地元企業と連携した広報活動
消防本部職員による各家庭での取付け支援
といった他の地域の先進事例を紹介し、取組の強化を働きかけ、設置率の向上に努めてまいる。

 

▶後藤香織: 福岡県のジェンダーギャップについて

次に、福岡県のジェンダーギャップについて伺います。

今年3月「都道府県版ジェンダーギャップ指数」が発表され、メディアでも大きく取り上げられました。

これによると、本県は政治0.153、行政は0.258、教育は0.423、経済は0.356であり、いずれの分野においてもジェンダー平等を示す「1」には程遠い結果となりました。

こういった事項は、これまでも「福岡県男女共同参画白書」にて示されてきましたが、具体的な指標として可視化された事で現状を把握し、全国と比較する事で、より課題を認識しやすくなりました。

そこではじめに、この「都道府県版ジェンダーギャップ指数」の本県の結果について、知事の認識をお聞きします。
また、「ジェンダー平等の福岡県」という服部知事の公約を達成するためには、その思いを市町村と共有し、それぞれの取組を促していく必要があり、そのために、市町村ごとのジェンダーギャップが見えるデータ等を県として積極的に公表し、克服の道筋をつけていくべきと考えますが、知事の見解をお聞きします。

 

▶知事答弁

都道府県版ジェンダーギャップ指数は、民間の研究会が、官公庁の統計などをもとに、政治、行政、教育、経済の4分野について、各都道府県の男女格差の度合いを可視化するために試算したものである。

分野ごとの本県の全国順位は、教育が8位、行政は10位と比較的上位にあり、政治は19位、経済は20位となっている。一方で、ジェンダーギャップ指数は、ご指摘のとおり、各分野とも男女格差がない状態を示す指数1を大きく下回っている。このことから、あらゆる分野における女性の活躍やアンコンシャス・バイアスの理解促進などのジェンダーギャップ解消に向けた取組を進めていく必要があると認識している。

県ではこれまで、現状や課題が明らかにできるよう、審議会等委員の女性割合など市町村ごとに比較できるデータを公表してきたところである。今後さらに、多くのデータを収集・提供するとともに、課題に応じた取組事例の紹介を行うなど各市町村でジェンダーギャップ解消の取組が進むよう、働きかけていく。

 

▶後藤香織:ジェンダーギャップと少子化の関係性

次に、ジェンダーギャップと少子化の関係性についてお聞きします。

ジェンダーギャップと少子化の相関性については、2020年4月の内閣府の資料にて「ジェンダーギャップ指数が高い、つまり男女格差が少ないほど、出生率は高まる傾向」が示されました。

それを裏付けるように、ドイツやデンマークなどでは、女性の社会進出が進むと一度は合計特殊出生率が落ちますが、その後「ジェンダー平等」を社会全体で進める事で出生率は回復しています。

また、近年の人口動態をみると、地方に男性が多く、都会に女性が集まる「地方の男性化・都会の女性化」の現象が顕著に見られます。

地方に根強く残る性別役割分担意識を避けるように、9割以上の子どもを出産する20代・30代の女性が都会に流出する事を「地方消滅」とし、本県でも22の市区町村が「消滅可能性都市」に該当しています。

そこで2点目に、私は、ジェンダーギャップの解消が、少子化対策と地方創生に有効だと考えますが、ジェンダーギャップと少子化の関係性に注目して、本県の少子化対策を進めてはいかがでしょうか、知事の認識を伺うとともに、今後の取組をお聞きします。

 

▶知事答弁

少子化対策の推進にあたっては、固定的な性別役割分担意識などに起因する様々なジェンダーギャップの解消が重要であると考えている。厚生労働省の調査においても、夫の休日の家事・育児時間が長いほど、第2子以降の出生割合が高くなる傾向があるとされており、ジェンダーギャップと少子化の関係性が示されているところである。

本県では、「ふくおか子ども・子育て応援総合プラン」を策定して少子化対策を進めており、「子育てと仕事が両立できる環境の整備」を施策の柱の一つに掲げている。事業の例を挙げると、
子育て応援宣言企業の登録拡大及び取組内容の充実によるワーク・ライフ・バランスの推進
男性が家事・育児に関わることの大切さや意義について、企業や家庭に対する啓発の実施
市町村が行う男性を対象とした子育て支援セミナーの開催支援
などを進めている。

今後、こうしたジェンダーギャップの解消にも繋がる取組を着実に実施することで、少子化対策を推進してまいる。

 

▶後藤香織: 交通ネットワークの維持について

次に、コロナ禍で疲弊した交通ネットワークの維持について質問します。

コロナ禍から丸2年が経過し、製造業など、業績が回復した産業が見受けられ、今年度当初予算で県税収入が過去最高を計上するなど、一見、経済状況は最悪の時期から脱したかの様に見えます。

しかし、鉄道各社においては、危機的状況からいまだ脱し切れておらず、JR九州の2021年度連結運輸営業収益はコロナ前の2019年比で62.7%、西鉄は73.2%にとどまりました。

本県も人口減少局面に入った中、とりわけローカル鉄道を取り巻く環境は、益々厳しい状況に置かれる事は確実と言えます。

本県の鉄道路線営業距離数は800.5キロであり、九州内で最長、全国でも第9位で、県内各圏域に鉄道網が整備されています。
地域住民の日常生活や、観光振興による地域活性化にとって現在の鉄道は欠く事はできません。

以下、公共交通を維持する観点から、知事に3点質問致します。

まず1点目に、昨年12月定例会の我が会派の代表質問において、公共交通機関を利用した広域の旅行需要喚起策について質したところ、知事は「今後、公共交通機関の利用につながる様、鉄道やバスを組み込んだ旅行商品の造成を促してまいる」、「九州全域に利用対象者が拡大された際は、九州各県と九州観光推進機構、そして交通事業者、旅行事業者等と連携して、広域の旅行需要を喚起してまいる」と答弁されました。
そこで、その成果をそれぞれ具体的にご披瀝下さい。また今後の更なる取組みもあわせてお聞きします。

 

▶知事答弁

県では、旅行需要を喚起するため、昨年7月から「福岡の避密の旅」観光キャンペーンを実施している。この旅行需要をさらに広域で喚起するため、昨年12月、私は九州地方知事会長の広瀬大分県知事、唐池九州観光推進機構会長とともに『九州はひとつ』の理念のもとに、九州ブロックを対象とした「九州割」について国に先駆けて発表したところである。

その後、国が4月1日から旅行割引の対象を地域ブロックに広げたことから、県では「感染再拡大防止対策期間」終了後の4月8日以降、順次九州各県及び山口県へと利用対象者を拡大した。また、九州観光推進機構と連携して、九州各県の観光情報を一元的に発信し、旅行需要を喚起してきた。

こうした取組により、JRや高速バスなどの公共交通機関を組込んだ旅行商品が、4月以降の約2か月間で15件造成されている。さらに、修学旅行のバス代を助成することにより、航空機や新幹線を利用する県外からの修学旅行を誘致しており、北海道を始め静岡県、石川県など、既に20校からの申請を受け付けているところである。

今後、国のGoToトラベル事業などより広域的な観光支援策の取扱いを踏まえ、全国を対象として交通事業者や旅行事業者に旅行商品の造成を促し、200万人の誘客を目標とするキャンペーンを実施してまいる。

 

▶後藤香織: 鉄道の維持・活性化のための関係者が連携した市町村の区域を超えた取組の推進について

地域公共交通活性化再生法に位置づけられた地域公共交通計画は、実施主体が市町村である事から、当該市町村の枠内の交通機関のあり方を検討する事が主眼となっている現状があります。

鉄道は、市町村の枠を超えた広域移動を前提とした交通手段であり、広域行政を担う県の役割は極めて重要です。

これまでも日田彦山線活性化では本県議会でも大きな役割を担ってきたように、鉄道の維持・活性化のためには、県、沿線自治体、交通事業者が協力して広域的に取り組むことが必要です。

そこで2点目に、県、関係自治体がJR・西鉄や平成筑豊鉄道・甘木鉄道・筑豊電鉄の地域公共鉄道3社と連携し、市町村の区域を越えた取組みを更に推進していくべき
だと思いますがいかがでしょうか、お答え下さい。

 

▶知事答弁

県内には、現在、平成筑豊鉄道、甘木鉄道、JR日田彦山線、西鉄貝塚線など個別の路線において、県、沿線自治体と鉄道事業者等からなる8つの協議体が設置されている。これらの協議会では、各路線の利便性向上や利用促進を目的として、沿線自治体所有地を活用したパークアンドライドの取組、駅を拠点として沿線地域を周遊するためのガイドブックの作成、地域の祭りシーズンに合わせたウォーキング・スタンプラリーの開催など、沿線の関係者が協力した積極的な取組が行われている。

さらに、平成筑豊鉄道と筑豊電気鉄道による共通1日乗車券の販売や、甘木鉄道とJR九州、沿線自治体、商工会議所等の関係者が一体となった周遊イベントの開催など、路線を超えた広域的な取組も進んできている。

その上で、本県では、今年3月、行政機関、県議会、有識者、JRや西鉄をはじめとする交通事業者などによる福岡県交通対策協議会での検討を踏まえ、福岡県総合計画の部門計画である交通ビジョンを新たに策定した。今後、このビジョンの下、利便性向上や利用促進の取組をさらに進め、鉄道など県全体の地域公共交通の維持・活性化につなげてまいる。

 

▶後藤香織: いわゆる交通税の導入について

3点目に、いわゆる交通税についておたずねします。

本年4月、滋賀県の税制審議会は、バスや鉄道といった地域の公共交通機関を支えるために、県民に新たな税負担を求める必要がある、という考えから交通税導入を提言、三日月・滋賀県知事も導入に向けた検討を行う事を表明しました。

本県では、公共交通機関への支援策を補助金等でまかなってきましたが、人口減少や地域格差が大きくなる中、公共交通を社会に不可欠なインフラとして位置づけ、今後も継続的に維持するための方策として、交通税の導入を具体的に本県でも検討する時期に来たのではないかと思います。

本県は、森林環境税の導入を始め、産業廃棄物税、そして一昨年は宿泊税も導入するなど、社会的課題解決のために、特定の使途を目的とした税の導入を行ってきました。

そこで、本県における交通税の導入について知事はどのような認識をお持ちかお聞きします。

 

▶知事答弁

交通税は、県民に新たな負担を求めるものである。このため、
どのような施策の目的を達成しようとしているのか、
必要な費用はどの程度か、
税以外に財源確保の方策はないのか、
受益と負担の観点から誰が負担すべきかなど、
検討すべき課題は多岐にわたっているものと考える。

滋賀県では、今年度から来年度にかけて「地域公共交通を支えるための税制」として、交通税の導入について検討を行っていくと聞いており、その検討状況について注視してまいる。

 

▶後藤香織: 高齢者福祉における低所得者の利用の現状について

続いて、高齢者福祉における低所得者への支援について伺います。

高齢化の進展に伴い、年金支給額の減少や負担額の増加が大きな課題となっています。
老齢厚生年金の支給額の状況を見ると、2019年では平均月額14万6162円ですが、10年前の2010年は15万3344円と、月額で7182円も減少しています。

一方、所得の低い方の負担軽減を図るため、国が導入している補足給付制度は、2021年8月から預貯金額の基準が厳しくなり、年収120万円超の方が特別養護老人ホーム多床室に入所し、今後も、高齢者の低年金と福祉利用における負担増は、大きな影を落とす中、できるだけ低所得者の負担軽減策を図ることが必要だと感じます。

高齢者介護を担う社会福祉法人は、社会福祉事業を行う事を目的に設立されている法人で、その性格から法人税が非課税となるなど、大幅な税制上の優遇措置が講じられ、寄付金等の収入も認められています。

そのため、社会福祉法人では、低所得者向けの負担軽減を行うため「社会福祉法人による低所得者に対する利用者負担額軽減制度」が導入されています。

しかし、この制度はあくまでも社会福祉法人が市町村及び県にその旨を申請する方式となっている上、社会福祉法人が軽減額を一定額負担する必要がある事から、制度を活用しているのは、一部の社会福祉法人に限られているとお聞きしています。

そこで1点目に、高齢者福祉における低所得者の利用が厳しい状況になりつつある現状についてどのように認識しているのか、お聞きします。

 

▶知事答弁

介護保険制度における低所得者対策として、介護老人福祉施設などの介護保険施設を利用されている方の食費や居住費については、所得に応じた負担限度額が決められている。

昨年8月の改正では、在宅で介護を受ける方と施設入所の方との公平性や、一定額以上の収入額や預貯金額をお持ちの方の負担能力に応じた負担を図る観点から、負担限度額の見直しが行われた。その結果、費用が増加する方が生じている。このような方々への支援として、社会福祉法人が利用者負担を軽減する事業を行っており、県では、この軽減額の8分の1を助成している。

 

▶後藤香織:利用者負担軽減制度を導入している社会福祉法人の状況と県の対応について

2点目に、低所得者に対する利用者負担軽減制度を導入している社会福祉法人の割合についてお示し下さい。
その上で、この利用者負担軽減制度を申請する社会福祉法人を増やす事、またその制度を低所得者の利用者に周知する事が大切です。
それぞれについて、知事はどのように取り組むのか、お聞きします。

 

▶知事答弁

利用者負担軽減の申出を行っている社会福祉法人の割合は、今年4月現在で、約74%となっている。また、主な介護サービス別では、介護老人福祉施設で約71%、短期入所生活介護で約68%、訪問介護で約67%となっている。

県では、この割合を高めるため、介護保険施設や介護サービス事業所の管理者等に対する集団指導において、利用者負担の軽減に取り組むよう、利用者負担軽減制度の説明を行っている。また、施設等に出向いて行う監査や運営指導の際に、未実施の施設等に対しては、個別に実施の要請を行ってまいる。

さらに、利用者への周知については、施設での広報を促すとともに、保険者が独自に行う保険料の減免制度もあることから、申請の窓口である市町村を通じて周知してまいる。

 

▶後藤香織: 本県施設園芸、とりわけ農業の振興について

次に、本県施設園芸、とりわけ農業の振興について伺います。

先日、施設園芸の生産者の現状を伺うために、糸島市のバラ農家を訪ねました。

コロナ禍からの売上回復が鈍る中、肥料および原料の主な調達先である、中国が自国農業保護のため輸出規制を行っている事などによって輸入肥料の確保が困難になっている事、燃油価格高騰に伴い、包材価格も上昇し、コスト増となっている事、販売価格に転嫁できず、コスト削減も既に限界だ、という生産者の窮状をお聞きしました。

本県は、洋ラン、ガーベラは全国第2位、キク、トルコギキョウは全国第3位と、全国でも有数の花卉生産県です。

この花卉生産にあたっては、温度維持のための燃油を多く使うほか、農業施設も、他の園芸品目に比べ高額な施設を導入する必要があり、初期投資も多額になります。

また、コロナ禍で花卉農家は深刻な影響を受け、本県も「県産花き消費促進緊急支援事業」をはじめ、様々な支援を行っている事は承知していますが、ウクライナ危機からの燃油価格の高騰で、追い打ちをかけられた状況になっています。

今回のコロナ禍で、生活様式も変化しており、例えば、花の消費の多い冠婚葬祭分野は、規模がいずれも小規模化していることなどから、消費量の減少も大いに心配されます。

確かに短期的には、輸入花卉の減少によって価格は上昇していることは承知していますが、長期的に見れば、全国有数の花卉生産県である本県農業に、大きな影響が生じることになると思います。

このような観点から、以下、知事に質問致します。

まず1点目に、コロナ禍や燃油・肥料などの価格高騰による本県花卉農家への影響をどのように認識しているのか、お聞きします。

 

▶知事答弁

コロナ禍によって縮小していたブライダルや葬儀の規模は、徐々に回復の兆しが見られるものの、花の業務需要はコロナ前の状況までには回復しきれていない。

このような中、燃油や肥料価格の高騰により、生産コストは上昇し、農業者の経営はさらに厳しい状況になっている。燃油については、その価格上昇分を補填する国のセーフティーネット制度を活用して支援してまいる。一方、肥料については、昨年11月時点に比べて5割程度高騰しているため、経営継続支援として、今回、早期議決をいただいた補正予算により、肥料の前年度からの価格上昇分の2分の1を助成することとしている。

 

▶後藤香織:花き生産における石油依存からの転換について

2点目に、石油依存からの転換に向けた取り組みについてお聞きします。

農林水産省は持続可能な食料システムの構築に向け、「みどりの食料システム戦略」を策定し、とりわけ農業分野では、カーボンニュートラルなど、環境負荷軽減やスマート農業などの取組みを現在進めています。

そのため、国の今年度予算においても、農業における温室効果ガス排出量削減の推進に向け、様々な予算が計上されています。

このような状況の中、本県でも燃油消費量の多い花卉農家に対して、石油依存からの転換に向けたさらなる後押しを行う事は、脱炭素、SDGsにも大いに貢献すると思います。燃油価格の高騰や物価上昇が長期化する事が予想される中、農業分野の石油依存割合をできる限り低減させる事が重要だと考えます。

そこで、花卉生産における石油依存の割合を減らすため、現在、どのように取り組んでいるのか、また、国の動きを踏まえ、将来に向けて、どのように取り組んでいくのか、お聞きします。

 

▶知事答弁

県では、これまでも、ハウスの保温性を高める二重カーテンや、温度を均一にする循環扇などの燃油削減効果の高い省エネルギー機械・施設の整備を進めてきたところである。こうした取組に加え、今回、早期議決をいただいた補正予算を活用し、新たな省エネ技術に対応した機械や資材の導入を支援してまいる。

一方、国においては、2050年を目標としたCO2ゼロエミッション化に向け、園芸施設における化石燃料の使用量を削減できる機械や技術の開発を進めているところである。この中には、バイオマス発電で生じる熱や、農業用水などの流水により得られる電気を、農業生産に活用するなど、実証段階に移っているものもある。

こうした新たな技術の活用により、石油依存割合を減らしていくことは重要であるので、今後、技術の導入効果や採算性などの課題を見極めながら、生産現場への導入に向け、研究してまいる。

 

▶後藤香織:県産花き消費促進の取組について

さて、総務省の家計調査で報告された、2021年の本県の切り花支出額は北九州市で7069円、福岡市で5503円と、全国平均の7649円に比べ、低い状況に
なっています。

8年前の2014年と比較すると、北九州市で10882円、福岡市で6728円と、その支出額も減少傾向となっています。
全国有数の花卉生産県である本県において、消費額が低迷している状況は非常に残念です。

そこで3点目に、花卉消費量の減少を食い止めるためにも、県として消費促進に向けた継続的な支援を行う事が大切だと思いますが、この点について、今後どのように
取リ組むのか、お聞きします。

 

▶知事答弁

県では、これまで、花き関係団体と連携して、県庁ロビーをはじめ、県内の公共施設に県産の花を飾る取組や、県産花きの販売キャンペーンを実施する花屋への支援などを行ってきた。

今後は、コロナ禍での生活様式の変化を捉え、家庭での利用を促進する取組も充実してまいる。具体的には、若い方たちの購買につなげるため、県産花きの魅力や県内花屋の情報を、インスタグラムやユーチューブなどを活用し、昨年の5割増となる年260回に増やして発信してまいる。また、その内容については、若い方たちが共感できるよう、同世代の女性タレントが生産者や花屋を取材し、得られた発見や感動などを伝える工夫をしている。

さらに、家庭での花の飾り方や日持ちさせる方法を紹介したリーフレットを作成し、広く配布するとともに、今年度開催する福岡県農林水産まつりにおいて、生産者を講師としたフラワーアレンジメント教室を開催する。

県としては、こうした取組により、県民の皆様が花に触れる機会を増やし、県産花きの消費を促進してまいる。

 

▶後藤香織: 平成29年7月九州北部豪雨の復旧工事の進捗について

次に、出水期への備えについて質問します。

「平成29年7月九州北部豪雨」から間もなく5年となります。

我が会派は今年4月、豪雨災害の被災地である朝倉市や東峰村などを改めて訪れ、河川や道路を中心に復旧事業の進捗状況を視察しました。

被害の大きかった赤谷川や乙石川では多数の工事車両が行き来し、重機が作業を続けていました。
発災直後から復旧に力を注いでこられた国や県など関係者の皆様には、心からの敬意を表します。

その際に、国土交通省の関係者から「赤谷川に関しては今年度中にすべての工事を完了する」との説明を受けました。

しかしながら、どの現場も我々の目から見て、まだまだ「道半ば」という印象を受けました。
被災地の方々の思いは、1日も早い復旧・復興です。知事も先日、被災地に足を運んで公共施設や農地・農業用施設を視察されています。

そこでお伺いします。

発災から間もなく5年となる九州北部豪雨災害の復旧工事について、現時点の進捗状況と、今後の見通しをお示しください。
特に、県の事業については年度内に完了する予定なのか伺います。

 

▶知事答弁

県が管理する道路、河川、砂防などの公共土木施設の原形復旧については、全ての箇所で工事が完成している。

また、改良復旧については、
道路では、2路線3区間の全てで工事が完成している。
河川では、13河川のうち、4河川が完成している。さらに、来年の出水期までに、権限代行により国が事業をしている赤谷川、乙石川など、6河川が完成する予定であり、残る3河川については、来年度内に完成する予定である。なお、護岸整備が必要な延長のうち、7割を超える区間で工事が完成している。
砂防では、57箇所のうち、37箇所が完成しており、来年の出水期までにすべての箇所の砂防ダムが完成する予定である。

次に、農地・農業用施設については、
原形復旧を行う962箇所のうち865箇所で工事に着手し、うち764箇所の工事が完成している。
今年度中には、さらに98箇所が完成予定であり、これを含めた完成箇所の割合は、全体の約9割となる見通しである。
未着手の箇所については、隣接する他の復旧事業との調整を行っており、調整が整ったところから順次着手してまいる。

また、被害が甚大で原形復旧が困難な河川沿いの農地については、朝倉市が区画整理型の復旧を進めており、
9河川15区域のうち14区域で工事に着手し、うち1区域が今年2月に完成している。
未着手の1区域については、現在、朝倉市が発注準備を行っているところであり、契約が整い次第、着手する予定である。

県としては、引き続き、用地の取得や関係者との調整を進め、着実な工事の進捗を図り、一日も早い被災地の復旧・復興に取り組んでまいる。

 

▶後藤香織:盛土の総点検について

静岡県熱海市で昨年7月3日、盛土の崩落に伴う大規模な土石流が発生し、死者・行方不明者27名、建物被害132棟という大きな被害を引き起こした事は記憶に新しいところです。

危険な盛土の点検と、盛土に関連する防災については県議会の本会議や委員会において再三にわたり議論が交わされ、県は「関連部局内で連携して点検し、必要に応じて県地域防災計画の見直しを検討する」と答えています。

また昨今、県内の違法な盛土に関連して業者が逮捕、送検されるといった報道が相次ぎ、出水期を前に危険な盛土に対する県民の関心が一層高まっています。

わが会派の岩元一儀会長はいち早くこの盛土の問題に着目し、2018年9月定例会の決算特別委員会で、大規模盛土造成地の所在調査と盛土造成地マップの公表を求め、県はホームページ上において2020年3月に大規模盛土造成地のマップを公表しています。

そして本県は今年3月18日、盛土による災害の防止に向けて対象となる1,050か所の盛土の総点検を行い、結果を公表しました。

その結果、是正措置が必要な盛土は60か所あり、是正指導を行ったうえで「直ちに大規模災害につながる危険な盛土は確認されなかった」とのことです。

そこで2点目に、今回の盛土の総点検は、どのような調査方法に基づいて行ったのかを具体的にお示し頂いた上で、直ちに大規模災害につながる危険な盛土がないと判断した具体的な根拠は何か、そして今後、これらの盛土について、新たに是正措置が必要となった場合、県はどの様に対応していくのかご説明ください。

 

▶知事答弁

今回の総点検は、国からの調査依頼に基づき、県と市町村が把握した盛土のうち、国が重点点検箇所と位置付けた盛土等について、書面確認や現地点検を行った。

書面確認では、盛土の関係法令を所管する部署において、許可・届出の手続きがなされているかどうかを確認した。

現地点検では、
許可・届出の内容と現地の状況との相違
災害を防止するための必要な措置の有無
盛土の安定状況、廃棄物の混入の有無
を目視で確認した。

これらの点検結果により、盛土の崩壊につながるような亀裂や段差が確認されなかったため、直ちに大規模災害につながる危険な盛土はないと判断した。

その一方で、直ちに災害につながる危険性はないものの、手続き内容の不備や、排水設備の不具合などが判明した事案については、速やかに是正するよう指導を行ったところである。

今後、市町村や地域の方からの情報提供などを踏まえ、新たに是正措置が必要と判断した場合は、市町村と連携して、速やかに行為者・土地所有者に対し、防災対策の指導を行うなど、安全の確保に努めてまいる。

 

▶後藤香織:個別避難計画の作成状況と課題、市町村に対する支援について

近年の大雨災害等において、高齢者など、災害時に支援が必要な「災害時要支援者」が多く被災したことを踏まえ、国は昨年度、災害対策基本法を改正し、要支援者の同意を前提に市町村へ個別避難計画の作成を努力義務化しました。

個別避難計画は、災害が想定される際に、避難が必要な方に対し、支援者がマンツーマンで避難支援を行う極めて有効な方法です。

そのため国は、昨年度から市町村における個別避難計画の作成経費に地方交付税措置を講じる支援を開始しました。

法改正の趣旨を踏まえ、全ての要支援者に対する個別避難計画の作成を早急に完了すべきと考えます。

そこで3点目に、県内市町村における、要支援者の個別避難計画の作成状況はどうなっているのか、お答えください。
また作成を進めるに当たり、どの様な課題があるのか、お示しください。

併せて、個別避難計画の作成が完了していない市町村に対して、県はどの様に支援していくのか、具体的な方針をお示しください。

 

▶知事答弁

今年4月現在、要支援者に対する計画の作成率は46.3%となっており、市町村ごとでは、29市町村で計画の作成が完了している一方で、50%に満たないところが22市町となっている。

計画の作成に当たっては、住民の地域コミュニティにおける共助意識の希薄化、避難支援者になることへの理解不足や負担感により、避難支援者を十分に確保できないことが課題である。

このため、県では、今年度から新たに、
自主防災組織や消防団等の避難支援関係者間で連携を図るための協議会の設置
避難支援関係者の中から、具体的な避難支援者の候補となる方の洗い出し
避難支援者となることへの理解を得るための候補者への個別訪問
などの取組を市町村職員と一緒になって行い、避難支援者の確保を支援してまいる。

また、要支援者ごとに避難方法等を話し合うケース会議や計画内容を検証するための避難訓練に対しても、専門家の派遣や先進事例の紹介などを行い、実効性のある計画となるよう支援してまいる。

 

▶後藤香織: 災害ボランティア活動に関する協定について

続いて、災害ボランティアの養成について、お聞きします。

昨年3月、福岡県は県社会福祉協議会、及び災害支援ふくおか広域ネットワーク・通称Fネットとの3者で、「災害ボランティア活動の連携支援に関する協定」を結んでいます。協定の目的は災害対応のノウハウ全般を共有する事と伺っています。

この協定発足後の昨年8月には、本県で、大雨特別警報が発表され、久留米市を中心に大規模な大雨災害が発生しました。そこで知事に伺います。

1点目に、この協定の目的を改めてお示しいただいた上で、3者は協定に基づきどの様な活動を行ってきたのか、とりわけ昨年8月の久留米市などの豪雨災害時にこの
協定がどの様に機能したのかお答えください。

 

▶知事答弁

県では、昨年3月に、災害ボランティア団体で構成される「Fネット」と「福岡県社会福祉協議会」との三者で、災害ボランティア活動の連携支援に関する協定を締結した。その目的は、災害時に行政が把握する被災情報や社協が把握する被災者ニーズを共有し、災害ボランティア団体による支援のコーディネートを行うこと、また、平時から三者の連携体制を構築するものである。

昨年8月の大雨災害では、この三者で、被災地の久留米市や久留米市社協と連携して、浸水被害への支援にあたり、床上部分は市社協で受け付ける一般ボランティア、床下部分は災害時の対応ノウハウを持った団体が担当するといった調整などを行った。

災害後の三者による振り返り会議において、Fネットからは、「県や県社協と協定を結んだことにより、発災直後から久留米市と市社協から積極的に情報が提供され、効果的に活動することができた」との評価もいただいているところである。

 

▶後藤香織: 令和3年8月の大雨災害で得た教訓と今後の取組について

2点目に、協定締結後の災害でどの様な教訓が見つかったのか、又その教訓を踏まえて今後どの様に取り組んでいくのかお答えください。

 

▶知事答弁

被災者ニーズに対応し、効率的かつ効果的な復旧支援を行うためには、被災地の市町村及び市町村社協が、早い段階から情報共有や活動調整の場に、参加し、今回、協定を締結した三者と連携して取り組んでいくことが重要であると確認できた。

このため、今回の事例を県主催の市町村研修会や県社協主催の災害ボランティアセンター設置運営訓練などを通して、県内市町村及び市町村社協に対して周知し、被災地での円滑な支援活動につなげていく。

また、今回の災害では、協定に基づく支援対象が久留米市のみであったが、複数自治体にわたる広域災害が発生した場合に備え、三者と複数の市町村や市町村社協との情報共有や活動調整の方法についても、今後、三者で検討していく。

 

▶後藤香織: 災害ボランティアに対する認識について

近年多発する災害への対応においては、ボランティアの皆さんの応援が必要不可欠な要素となっています。

茨城県や広島県ではボランティアに興味のある一般の方々にあらかじめ登録してもらい、平時からボランティアに関連する情報を共有し、発災時には速やかに活動してもらえる様な制度を設けています。

大規模災害が常態化している今、意欲のあるボランティアの確保と効率的な受入れのため、本県でも登録制度を設けてあらかじめボランティアを確保しておく事は非常に有用で意義のある事だと考えます。

そこで3点目に、過去5年間の本県での災害において、どのくらいの人数のボランティアが活動をしたのか、その数をお示し頂き、併せて発災時のボランティア活動について、知事の認識をお聞かせください。

 

▶知事答弁

平成29年度から令和3年度までの5年間に、被災地の災害ボランティアセンターを通じて参加されたボランティアは、延べ58,437人となっている。

近年、本県では大きな災害が続いているが、その都度、県内外から多くの方が参加され、被災者の方に寄り添うとともに、きめ細かな活動を行っていただいており、被災地において、非常に重要な役割を果たしていただいていると認識している。

 

▶後藤香織: 災害ボランティアに対する認識について

4点目に、全国の都道府県および県内市町村でボランティア登録制度を設けているところはどのくらいあるのか、お示しください。
その上で本県における登録制度創設についての知事の考えをお聞かせください。

 

▶知事答弁

全国には、災害ボランティアの登録制度を設けている県が11ある。その制度の運営については、県社会福祉協議会が6県、県が2県、県とその他の団体による共同運営が3県となっている。本県内の市町村では、7市町において、市町村社協が登録制度を運営している。

ボランティア活動の受入れ現場では、活動日の調整、活動内容や活動箇所の割り振り、被災者ニーズとのマッチング、ボランティア活動保険の加入手続きなどに毎日多くの時間が割かれており、参加者の実働時間を圧迫している。県としては、ボランティアの受入れを円滑に実施し、より多くの時間を被災者の支援に充てていただけるよう、受入れ手続きの効率化を図る必要があると考えている。

このため、ボランティアの申込受付から活動の調整作業までICTを活用し効率的に行える登録制度について、県社協とともに研究をしているところである。

 

▶後藤香織: 市町村災害ボランティアセンターへの運営支援について

5点目に、ボランティアの円滑な受入れのためには、市町村社会福祉協議会などが開設する災害ボランティアセンターでの被災者ニーズの集約や支援活動のコーディネートが重要で、このボランティアセンターの設置や運営のノウハウを広く市町村で共有し、円滑に運営できるよう準備する必要があります。
そこで、県として、どのように支援していくのかお答えください。

 

▶知事答弁

県社会福祉協議会では、昨年度から、市町村社協、自治体、関係団体の職員等を対象として市町村災害ボランティアセンターの設置・運営業務に係る研修・訓練を実施しており、県はこれに対する助成を行っている。

具体的には、
「災害ボランティアセンターの基本的知識、運営姿勢などの担当者への講義」
「実際の災害を想定した地域毎の実地訓練」
「市町村社協が関係団体や住民等を対象に実施する研修会への県社協職員の派遣」を行っている。

今後とも、市町村災害ボランティアセンターが運営ノウハウを蓄積し、災害時に円滑なセンターの設置・運営ができるよう、このような取組を支援してまいる。

 

▶後藤香織: 不就学の可能性がある外国人の子供を就学につなぐ支援について

次に、外国人児童生徒への教育支援について、教育長に伺います。

現在、日本語教育が十分でない子どもが、教育や生活において支障をきたしている状況にあり、その支援が喫緊の課題です。

今後は、増加が見込まれる「特定技能2号」外国人の家族帯同者が増えることで、日本語教育が必要な外国人の子どもの増加が予測されます。
そのため、本県でもその外国人の子ども達への教育体制を整えていく必要があります。

文部科学省の「外国人の子どもの就学状況調査」の2021年度の結果によれば、本県には、学齢相当の外国人の子どもは2,489名おり、この中には、不就学の可能性があると考えられる外国人の子どもの数を単純計算した34名が含まれています。

そこではじめに、この不就学の可能性がある子どもたちを今後どの様に就学につなげる支援をしていくのか、お聞きします。

 

▶教育長

本県においては、各市町村において、学齢相当の外国籍の子供を持つ全ての保護者に対して就学案内を行い、本人・保護者からの希望に応じて、小中学校への受入れを行うなど、教育機会の確保に努めている。また、全国の就学促進に関する取組事例等について、市町村教育委員会に対し情報提供を行っているところであり、外国人の子供が就学の機会を逸することがないよう、今後も取り組んでまいる。

 

▶後藤香織: 義務教育段階における日本語指導が必要な児童生徒の数やその対応等について

2点目に、本県で義務教育段階に就学している、日本語教育が必要な児童生徒数をお示しください。
2019年12月の我が会派の代表質問以降、当該児童生徒へ、どの様な対応や支援をし、その結果、どの様な成果があったのかお聞きします。その上で、今後の取組についてもお聞かせください。

 

▶教育長

政令市を除く本県の日本語指導が必要な児童生徒数は、文部科学省の令和3年度調査の速報値によると、小学校では276名、中学校では112名である。

県教育委員会においては、対象児童生徒数に応じた教員加配を行うほか、日本語指導を担当する教員を対象に、指導力向上のための研修を実施している。

また、一昨年度から、児童生徒の実態に応じたカリキュラムとその効果的な指導方法や、日本語指導教員等の巡回による支援体制について実践研究を実施しているところである。

さらに、学校に1人1台端末が整備されたことを踏まえ、言葉の練習ソフトや多言語翻訳アプリを活用した支援方策など、他校でもすぐに活用できる取組をリーフレットにまとめ、今年3月に各市町村教育委員会に対し周知したところである。

引き続き、このような研究の成果を周知するとともに、他校の参考となる取組の実践発表を行い、日本語指導の充実に取り組んでまいる。

 

▶後藤香織: 早良高校の通学における課題認識と今後の対応について

最後に、私の地元早良区にある県立早良高校と2025年度に開校予定の仮称県立早良特別支援学校について、教育長にお聞きします。
まず早良高校生への通学支援についてお聞きします。

早良高校は、第2次ベビーブーム世代の進学対策として、高校新設の激増期さなかの1986年に創立され、早良区でも郊外に位置し、交通面で福岡市内の他の県立高校に比べ、厳しい立地となっています。

現在、県内では門司学園、輝翔館中等教育学校の中高一貫校2校がスクールバスを運行しており、県は生徒の進路の選択肢を増やす趣旨から、その運営費用を助成しているとの事です。今後の県立高校魅力化を促進するためにも、スクールバスの導入もぜひ検討していただきたいと思います。

そこで1点目に、早良高校の通学における課題についてどの様に認識しているのかお聞きします。
その上で、バス運行に関して、高校側と導入にむけた協議についてどの様に行っていかれるのか、併せてお答えください。

 

▶教育長

早良高校の一部の通学エリアについては、公共交通機関はあるものの、本数が少なかったり、大きく迂回しなければならないなど、通学の利便性に課題があると考えている。

高校段階では、通学手段の確保を含め就学の保障が求められる義務教育段階と異なり、保護者団体が独立してスクールバスを運行することとなるため、相当数の利用者が見込まれなければ運営が困難である。

こうしたことを踏まえ、県教育委員会としては、生徒や保護者を対象とした通学方法に関するニーズ調査を行った上で、バス運行の採算性や、タクシー、バイクなど他の通学手段の可能性等について、同校とも協議してまいる。

 

▶後藤香織: 新設特別支援学校の通学区域について

次に、仮称早良特別支援学校について、まずは、その通学区域について2点お聞きします。

仮称早良特別支援学校は、太宰府特別支援学校の教室不足に対応するため、早良高校の敷地内に開校予定です。

通学する児童生徒については、太宰府特別支援学校の通学区域を分割し、新たに設定する事となっています。

この通学区域に関しては、2019年2月定例会の文教委員会にて、通学区域内の児童生徒数の変化を見きわめ、通学に要する時間のシミュレーションなどを慎重に行い、開校の概ね一年前までには適切な通学区域を設定する、との方向性が示されました。

仮称早良特別支援学校の通学区域について、2019年2月以降どう検討され、その通学区域をどう区分けする予定か、現段階での計画および今後の方針をお示し下さい。

 

▶教育長

太宰府特別支援学校の教室不足の解消が効果的に図られるよう、同校の現在の通学区域を分割することを考えている。

このため、同校の通学区域内の対象児童生徒数の状況を引き続き注視しているところであるが、現段階においては増加傾向にあり、今後もその傾向が続くことが見込まれる。

一方で、自治体ごとにその傾向が異なっており、今後も慎重に推移を見極め、通学に要する時間も勘案した上で、開校予定である令和7年4月の1年前までには通学区域を決定したいと考えている。

 

▶後藤香織: 新設特別支援学校への児童生徒の受入れについて

3点目に、福岡市の特別支援学校は、市内に8つありますが、早良区・城南区にはない上に、北部地域に集中しています。また、教室数も増えている現状にあります。

そこで、福岡市立の特別支援学校に入れない児童生徒等について、通常教室でのインクルーシブ教育を進めていくことが最も重要ではありますが、保護者が特別支援学校での教育を希望する場合、仮称早良特別支援学校でも受入れができる様、弾力的な運用をしてはいかがでしょうか、教育長の見解をお尋ねします。

 

▶教育長

知的障がいのある児童生徒については、特別支援学校を設置している県と政令市等において、それぞれ受け入れることを基本としている。

しかしながら、これまでも特別な事情がある場合には、政令市等の児童生徒を県立特別支援学校へ受け入れてきているため、今後、通学利便性の観点も含め、受入れについて福岡市と協議してまいりたいと考えているところである。

 

▶後藤香織: 新設特別支援学校の早良高校敷地内での開校理由について

この項の最後に、早良高校と仮称早良特別支援学校の連携について、お伺いします。

仮称早良特別支援学校は早良高校内に立地する事から、2校が連携しやすいという利点があります。
また、早良高校は、特別支援が必要な生徒もおり、学校や生徒たちが、個性を尊重し、認め合える支援体制ができています。

2校間の授業における共同学習や学校行事での交流など、連携を深め、県内のモデル校として、インクルーシブ教育を推進していくべきだと考えます。

そこで4点目に、早良高校の敷地内に仮称早良特別支援学校を開校する理由について、お聞かせください。

 

▶教育長

新設校の開校までのスケジュールを考慮すると、早期に開校場所を決定する必要があったため、県有地を中心に、太宰府特別支援学校の通学区域内、またはその近隣地域において、15,000㎡程度の敷地面積を確保できることを条件として選定を進めてきたところである。

その結果、福岡地区の普通科高校の中で最も広い敷地を有する早良高校が条件を満たしていたため、開校場所としたものである。

 

▶後藤香織: 早良高校と新設特別支援学校間の連携について

その上で、高校と特別支援学校間の連携をどう実践していくのか、教育長にお尋ねします。

 

▶教育長

県教育委員会では現在、早良高校と新設特別支援学校との連携について、生徒の特性に応じた相談支援など特別支援教育のセンター的機能の日常的な活用、授業や学校行事などの教育活動における交流及び共同学習の推進、教員研修の相互協力、体育館やグラウンドなど施設設備の共同利用といった内容を検討しているところである。

県教育委員会としては、高校と特別支援学校とが隣接する環境を十分活用し、両校の教育の質がより高まるよう、効果的な連携を目指してまいる。

 

▶後藤香織:再登壇

答弁を受け、交通ネットワークの維持について、要望いたします。

利用者の拡大に向けた施策は、知事が述べられたように、様々な取組みが行われてきました。
しかし、例えば、鉄道とバス等のダイヤ調整などはまだ十分とは言えないと考えます。

我が会派は、これまで地方路線での交通系ICの導入支援など利便性向上について要望を続けてきました。
知事におかれては、利便性の向上策の導入について県が積極的に牽引して頂く様、要望いたします。

併せて、交通税については「滋賀県の検討状況を注視していく」との答弁でした。

しかし、地域インフラとしての公共交通を、恒久的に維持し、社会全体で支えていく仕組みを作っていくことは大切なことであり、本県としても地域における公共交通の維持を国にも働きかけていく必要があると考えます。

知事の強いリーダーシップを要望いたします。

災害ボランティア登録制度について、知事に要望いたします。

この件については、災害ボランティア受け入れのための、基本的認識および今後の取り組みが明らかとなりました。

近年の大規模災害で延べ5万8千人余の災害ボランティアを受け入れた経験を生かし、具体的な登録制度のシステム構築と運用が形になるよう、知事としてしっかり後押しして頂きますよう、要望いたします。

次に、外国人児童生徒の教育支援について、教育長に要望いたします。

2016年5月には、日本語指導が必要な児童生徒が、小学校では193名、中学校が59名であったのが、教育長の答弁にもあったように、本年では、小学校276名、中学校112名と、コロナ禍で外国人の入国が制限されるといった状況でも増加をし、中学校においては約2倍増となっています。

日本全体でも、日本語指導が必要な外国人児童生徒は10年間で1.5倍増となっています。

その支援の取組については、市町村教委の外国人児童生徒への対応が難しいなどの現実から、他県では、県教委が外国人児童生徒への教育指針を出すなどの対応をしています。

今後も増え続けると見込まれる日本語指導の必要な外国人児童生徒に対し、より適切な支援につなげていくための、県教委としての積極的な取組を要望いたします。

*今回の質問は、2022年6月10日付の西日本新聞・読売新聞(いずれも朝刊福岡版)に掲載されました。

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