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2022年9月定例会における、私の一般質問「森林の無断伐採対策について」の内容です。

2022.9.21

無断伐採の防止対策の状況について

▶後藤香織

 次に、森林の無断伐採対策について、知事にお聞きします。

日本は国土の約3分の2が森林であり、農林水産統計によると、本県の県内における2020年の「林業産出額」は全国7位を誇っています。

近年は、ウッドショックによる木材価格の高騰、木材需要の高まりにより、森林の伐採が増加する中、伐採業者の活動エリアは県境を越えて広域化ています。

このような中、境界の確認不足等による無断伐採、森林法に規定する伐採及び伐採後の造林の届出等の制度の認識不足などによる「無届伐採」といった事案が全国でも増加傾向にあります。

被害届が提出される事案も起きており、国も「森林窃盗、無断伐採事案発生の未然防止対策の強化等について」都道府県に依頼しているところです。

ここで、森林犯罪とは、森林法の197条~213条に規定されている森林窃盗、窃盗の贓物に関するもの、森林失火、森林放火がそれに当たり、3年以下の懲役または30万円以下の罰金などの刑となっています。伐採届を出さずに伐採する「無届伐採」は、行政罰で100万円以下の罰金となっています。

森林窃盗罪の成立には(わざと)故意に、の証明が必要であり、間違ってうっかり伐ってしまった「誤伐」は窃盗には該当しません。

林野庁では、2018年から毎年「民有林の無断伐採に係る都道府県調査」をしており、2019年では、全国で95件、そのうち、九州・沖縄は最も多い43件でしたが、有罪判決はわずか5件となっています。

 こういった特性から、一部の悪徳業者は、立木(たちき)を伐って盗む「盗伐」が目的であったとしても、「無届伐採」、伐採届を出していても、その範囲の境界線を越えての伐採や違う場所を伐採してしまった、つまり「間違って伐ってしまった」とすれば、犯罪にならないということは、私は非常に大きな問題ではないかと思っています。

 国では、この対策として、本年4月に伐採届の改正を行いました。

こういった改正の主旨も踏まえ、森林窃盗、無断伐採を未然に防止する取組が最も重要だと考えます。

 そこで、県では、無断伐採を防ぐ対策として、現在どのように取り組んでいるのか、またそれらの取組によって、本県の無断伐採の状況はどのようになっているのか、あわせてお答えください。

 

▶知事

森林法では、保安林において伐採を行う場合、伐採とその後の造林計画について、県への許可申請が義務付けられています。

それ以外の民有林については、市町村への事前の届出に加え、今年4月の法改正により、伐採後の届出なども義務付けられたことで、誤って伐採したと偽る窃盗目的の伐採の抑止が図られています。

こうした森林法の規定に加え、保安林については、県がパトロールを行っており、近年、無断伐採の事案は発生しておりません。

それ以外の民有林については、市町村がパトロールを行っており、無断伐採の件数は、一昨年度は3件、昨年度は0件となっています。

これらパトロールに加え、県では、無断伐採を早期に発見できるよう、市町村が地図上で届出の有無を確認できるシステムを、昨年度から運用しているところであり、また今後、県のホームページやパンフレットにより、今回の法改正も併せ、森林所有者等に制度の周知を図ってまいります。

県としては、こうした取組により、無断伐採の防止と早期発見に努めてまいります。

 

近隣県との連携や無断伐採の監視対策の強化について

▶後藤香織

そもそも、森林は、広くて音が外に聞こえにくく、出入り自由という開放性や境界が不明瞭で占有があいまいである、といった特性から、犯罪が起きやすいといわれています。

全国で約3割を占める所有者不明森林や、所有者の意欲低下、所有者が県外にいるなどで管理が放棄されている森林では、無断伐採が行われたことさえも、気づきにくくなります。

 九州の多くの人工林が利用に適した時期を迎え、森林の無断伐採の被害が広がる中、特に被害の大きい宮崎県では、2017年、2019年に県内自治体や関係団体と協定を結び、情報提供、伐採パトロール、無断伐採木材の流通停止などの無断伐採の未然防止策を行っています。

その上、さらに連携を深め、監視を強化する目的で、今年の3月に宮崎県と熊本、大分、鹿児島の南九州4県は、立件されるなどした悪質な業者をリスト化し、情報共有する取り組みを全国に先駆け、始めました。

 九州の他県がこういった取組強化を始めた中で、本県の監視体制に不備があれば、いつ本県の森林に県境を越えて、盗伐目的の無断伐採が増加してもおかしくない状況だと危惧しています。

そこで2点目に、無断伐採は県境を越えて起こる可能性もあることから、近隣県との連携や無断伐採の監視対策の強化が必要だと考えますが、今後どのように対応していくつもりか、知事の考えをおきかせください。

無断伐採をされた現場では、他人の山を勝手に伐って木材を盗むため、伐採も乱暴で、山を荒らし、土砂崩れなどを引き起こすことも懸念されます。

森林は一度土壌が削られると、再び森に戻すのに長い年月がかかるため、悪質な環境破壊行為とも言わざるを得ません。日本だけでなく、世界でも盗伐問題は深刻です。

世界的にも合法性や持続可能性に価値を求めるESG投資が増えています。

こういった見えない価値を重視し、行政が応援していく姿勢が大切だと考えます。

無断伐採が深刻な社会問題であることを発信し、阻止するためにも、知事の真摯なご答弁をよろしくお願いいたします。

 

▶知事

県では、これまで、他県から県境を越えて無断伐採された事案は確認されていないものの、九州南部では、このような事案が発生していることから、九州各県と無断伐採の事案や対策について、定期的に情報共有を行っています。

その上で、県では、市町村や森林組合から提供される他県の事業者の伐採情報をもとに、伐採計画が順守されているか確認し、必要に応じて指導を行っています。

また、国は、伐採された場所が衛星画像で確認できるシステムを開発し、今年6月から運用を開始しています。

これにより、所有者不明森林などの無断伐採の抑止と効果的な取締りが可能となることから、県では、伐採が本格化する10月以降、定期的に県内の伐採状況をこのシステムで確認し、その情報を市町村とも共有することで、県境を越えた無断伐採の早期発見につなげることとしています。

県としては、こうした取組を通じ、九州各県との連携を図りながら、監視を強化してまいります。

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