https://www.gotokaori.com/wp-content/uploads/2022/11/fukidashi_80_80.png

2022年12月定例会における、私の一般質問「若者の地元定着のための取組について」の内容です。

2022.12.13

若者の県外流出について

▶後藤香織

皆さま、おはようございます。民主県政クラブ県議団 早良区選出の後藤香織です。

まずはじめに「若者の地元定着のための取組について」知事にお聞きします。

本年10月、九州経済調査協会は、九州の2050年の人口が2020年の4分の3になり、国立社会保障・人口問題研究所の推計をさらに上回る減少ペースで、人口減少が進行する、との推計を公表しました。

それによると、2050年の、本県の将来人口は、427万人と推計されています。

人口減少社会への対応は喫緊の課題です。

「福岡県総合計画」の人口ビジョンで、本県と他県との人口移動を年齢階級別にみると、各年代を通して転入超過傾向にあり、とりわけ、10 代後半の年代では、九州各県から転入があり、安定的な転入超過傾向がみられます。

しかしながら、就職時期にあたる 20 代では、転出超過が見られ、選んで福岡県にきた20代の若者が本県から県外へ流出しており、本県にとって大きな痛手であると考えます。

そこでまずはじめに、20代の若者の県外への流出について、その要因を県はどのように分析しているのか、お聞かせください。

 

▶知事

住民基本台帳人口移動報告によると、本県は昨年、全体では5,792人の転入超過になっています。

しかしながら20代については、全年代を通じて唯一、転出超過となっており、このうち20歳から24歳では411人、25歳から29歳では825人の合計1,236人の転出超過となっています。

20代の動向を地域別に見ると、東京都、神奈川県など1都3県の東京圏に対し4,544人の転出超過となっています。

国のまち・ひと・しごと創生本部事務局が実施した意識調査においては、地方圏から東京圏への移動のきっかけとして、20代前半では進学や就職と回答した割合が、6割を超えており、20代後半では、自身や家族の転勤、転職、結婚などと回答した割合が5割を超えています。

また、同本部では、大学卒業者等が就職する割合の高い専門的、技術的職業が東京圏に多いことが、東京圏への移動の要因の1つと考えられるとの分析がなされています。

2020年の国勢調査のデータをもとに、本県からの転出者がどの業種に就業しているかについて分析すると、東京圏への転出者は東京圏以外と比較し、情報通信業や学術研究、金融といった業種への就業割合が高くなっており、国による全国の分析を裏付ける結果となっています。

このほか、東京圏には、本社機能が集積し、賃金水準が高いことも要因となっているものと考えられます。

 

若者の県内就職促進の取組について

▶後藤香織

2点目に、若者の人口減が見こまれる中で、若者が県内で安心して働き、くらせる取組の強化が必要だと考えますが、本県の若者の県内就職促進の取組について、どのような施策を行っており、これまでどのような成果があったのか、お聞きします。

併せて、より一層の促進が必要と考えますが、どのように取り組むのか、お聞きします。

 

▶知事

県では、県内の高校生や大学生等の地元就職を促進するため、地元企業の経営者による出前講座や座談会、職場見学会を実施しています。

また、学校の就職指導担当者に地元企業への理解を深めていただくため、企業の人事担当者との就職情報交換会を開催しています。

県が参画している「九州インターンシップ推進協議会」では、県内の大学生を対象に地元企業や県庁、市町村でのインターンシップを実施し、昨年度は454人の学生を受け入れています

県外学生のUIJターン就職についても促進しており、就職支援協定を締結している67大学において実施する就職相談会への出張相談や県内企業をPRするための説明会を行っています。

また、県外からも参加しやすいウェブを活用した合同会社説明会やインターンシップを実施しているところであります。

若者就職支援センターでは、昨年度までの5年間で33,408人の若者が新たに登録し、就職した25,803人のうち、約75%に当たる19,000人余りが県内企業に就職したものと見込まれる。同センターでは、今年度から、県内企業の魅力を発信する場として新たにオンライン座談会を実施しています。

また、人材確保が喫緊の課題となっている県内の半導体関連企業の技術や魅力を伝えるため、9月補正予算により県内外の理工系学生を対象としたプロモーションツアーやウェブインターンシップを実施しているところである。
今後もこれらの取組により、若者の県内就職の促進にしっかり取り組んでまいります。

 

奨学金の返還支援について

▶後藤香織

次に、奨学金の返還支援について、お聞きします。

近年の4年制大学の学費の推移をみると、平成の約30年間で国公立・私立大学ともに、約30万円増加しました。

また、円安や原材料価格の高騰を受けて、物価高はとどまることを知らず、帝国データバンクによると、この1年間で値上げされた食料品は約2万800品目と、過去30年で異例の多さとなりました。

総務省の「小売物価統計調査」を見ても、食料品以外の値上げも顕著であり、教育関係でも、制服、自転車、文房具など、軒並み値上げが見られており、コロナ禍に加え、この学費の増加、昨今の物価高騰が、子育て世帯の負担を大きくしているのは明白です。

さらに、総務省「家計調査家計収支編」2021より算出した都道府県教育費負担率ランキングでは、可処分所得に占める教育費の割合が、福岡県は4.97%で全国5位と高く、負担が大きい結果も公表されました。

こういった教育費に関する厳しい状況の中、奨学金貸与者は年々増加しています。

日本学生支援機構(以下、機構)の奨学金は、給付型を約23万人が受給していますが、その多くは貸与型であり、約85万人、日本の大学の学部生の実に3割以上が機構の奨学金を貸与、つまり、借りている実態があります。

本県でも、2021年度、全学種で無利子第1種奨学金の貸与者は30,827人、有利子第2種奨学金は39,034人、貸与総額は、約509億3582万円と多くの方が利用しています。

奨学金の返還については、機構の奨学金を、貸与をするのは学生本人であり、3か月以上滞納が続けば、個人信用情報機関に登録、いわゆるブラックリストにのることで、携帯、車、家を買うことができないなど、様々なリスクがあり、2020年度末時点で、この「3か月以上の滞納」者は13万2千人、その額は2,069億円にのぼります。

奨学金貸与者で結婚や出産などのライフプランを諦めたり、1割が自己破産を検討するなど、奨学金返済が若者に重くのしかかる厳しい実態が、若者の労働・貧困問題に取り組むNPO法人の調査でも、あきらかになっています。

日本では、裕福な家庭の子どもは恵まれた教育を受け、そうでない家庭の子は自分の希望する進路選択ができないなどといった貧困の連鎖も起きています。

こんなときに大事になってくるのが、奨学金のような制度であり、進路選択の実現に、非常に重要な役割を果たしています。

しかし、そういった救済のための奨学金制度が返還の重さから、更なる格差を生んでいるとの指摘もあり、返還の負担を小さくするためにも奨学金の返還支援が必要だと考えます。

内閣官房デジタル田園都市国家構想実現会議では、若年層を中心とした地方から東京圏等への人口流出への対策として、若者の地方定着の取組が重要であるとし、就職等により地域に定着する人材を確保するため、都道府県等が大学等卒業後に自団体の区域内に就職・居住することを要件として奨学金返還支援の制度を創設した場合、その費用の一部を特別交付税措置するなど、支援しています。

中小企業の人材確保のため、支援をする自治体もあり、東京都は、若い人材が不足している建設・IT・ものづくり産業の都内中小企業に特化し、企業と共同で奨学金返還支援に取り組んでいます。

こういった制度を利用するなどして、本年6月1日現在、すでに36都府県、615市町村が、奨学金返還支援を行っています。

これについては、国も、本年4月に「特に、本制度を未導入の地方公共団体におかれましては、導入に向けた積極的な検討を」との、積極的な導入を促す通知を出しました。

そこでこの項の最後に、これまで述べた20代の県外流出、物価高騰、負担の大きい教育費等の状況を鑑み、今こそ、本県も基金の創設、および機構の奨学金返還支援の取組を開始してはいかがでしょうか

知事の見解をお聞きします。

 

▶知事

議員ご指摘の、都道府県と地元産業界が連携した奨学金返還支援制度については、大学等を卒業後に地元企業に一定期間就業するなどの要件を満たした学生に対し、奨学金返還を支援するものであります。

従って、本制度の創設には、産業界と若者の双方の理解が欠かせないものと考えています。

若者については、学生の地元就職に関する民間の意識調査を見ると、地元就職の条件として「奨学金の返還支援」を選んだ学生の割合は低くなっています。

また、技術系人材の不足が喫緊の課題となっている企業へのヒアリング調査では、行政に期待する役割として「奨学金の返還支援」と答えた企業は少数に止まっています。

なお、商工団体からも、奨学金返還支援制度の創設を求める具体的なご要望はいただいておりません。

このようなことを踏まえて検討を行ってきたが、学生や地元企業のニーズが低いことなど、実施するには課題が多いものと考えています。

また、大学生や20代・30代の本県出身者は、他県に比べて地元就職・Uターン希望の割合が高いという特徴があり、こうした県内外の大学生等の本県への就職の希望をかなえることが重要であると考えています。

県としては、魅力ある雇用の場を創出していくとともに、地元企業に関する情報を丁寧にお届けし、若者の県内就職を促進してまいります。

 

要望

▶後藤香織

知事および教育長よりご答弁頂きました。

奨学金の返還支援について、1点要望します。

知事からは様々なデータを用い「検討を行ってきたが、学生や地元企業のニーズが低いことなど、実施するには課題が多い」とのことでした。

しかしながら、知事が答弁された地元就職に関する意識調査も、奨学金貸与者に限定したものではないことから、本県の若者の奨学金貸与者に対する正確な実態把握は不十分ではないかと推察します。

今後、機構からの情報提供など、貸与者の実態を調査し把握していただくこと、また、2021年4月からは企業による代理返還制度もスタートし、企業側が所得税非課税などの優遇措置も受けられます。

こういった制度を本県内の企業に提供するなど、様々な制度を活用、研究し、奨学金返還支援につなげていただくことを要望します。

若者の未来のために、奨学金返還に係る負担を小さくできる取組の実現を期待して、私の一般質問を終わります。

ご清聴、ありがとうございました。

関連記事

コメント

この記事へのコメントはありません。

CAPTCHA


TOP