2023年6月定例会における私の一般質問、「地震対策の強化について」の内容です。
2023.6.16
活断層上に立地する危険性も踏まえた県立学校の建替や改修について
▶後藤香織
皆さん、こんにちは。民主県政クラブ県議団早良区選出の後藤香織です。
はじめに、地震対策の強化について、知事、および教育長にお聞きします。
先月2023年5月は、地震が多く発生し、震度5弱以上の地震は6回発生し、熊本地震が起きた2016年4月以来の多さとなりました。
地震大国ニッポンで、いつ起きるかわからない地震に備えることで、被害を最小限にする観点から、今回は活断層に着目して、以下、質問します。
まずは、学校施設の活断層への対応について、教育長にお聞きします。
現在、本県の県立学校等の学校施設や体育館においても、その耐震化率は100%となっています。日本では、建築物の地震対策といえば、揺れへの対策、つまり「耐震」が主であり、活断層の上や周辺に立地する建築物については、原子炉等の重要構造物を除き、国は直接的な規制をしておらず、その対応は十分でないのが現状です。
その活断層については、2023年3月改定の福岡県地域防災計画によると、現在、本県には7つの活断層の存在が確認されています。
2005年の福岡県西方沖地震、2016年の熊本地震も活断層が原因の直下型地震であり、特に熊本地震では、断層が大きくズレた映像がその破壊力のすさまじさを感じさせられました。
耐震改修をして5年もたたない東海大学阿蘇キャンパスの校舎も、断層のずれが建物を横切り、一部の建物の再建が不可能になるほどの被害が出ました。
断層自体が大きくずれることから、その真上や近接する建築物においては、揺れの基準では、対応は不十分では
ないかと懸念しています。
私の地元早良区には、日向峠―小笠木峠断層帯が南部に存在し、早良中学校の敷地の一部が、日向峠-小笠木峠断層上にある可能性が高いことが指摘され、私も地元の方から不安の声を聞きました。
国内の学校の約200校に1校がこの活断層の真上、近接に立地しているとも言われており、例えば、警固断層帯では、断層に沿った幅500メートルの範囲に学校50校が存在するとの調査結果もあります。
多くの児童・生徒が集まり、また避難所になる可能性もあることから、私は、こういった活断層の上に立地する学校は、特に危険性が非常に高いと考えます。
そこで1点目に、今後、県立学校の建て替えや改修を進めていくにあたり、こういった視点も踏まえた整備が必要であると考えますが、どういった基準で建替や改修を進めていくのか、現状とその計画方針について、お聞かせください。
▶教育長
県立学校施設の建替や改修については、平成30年3月に策定した福岡県立学校施設長寿命化計画に基づき進めているところです。
その計画を進めるにあたり、建替の場合は、震度6程度の大地震においても後者に大きな損傷が生じないよう、通常の耐震基準の1.25倍の構造耐力を持たせた設計を行っています。
また、活断層上に立地すると推定される県立学校を建築する場合は、後者を分離して配置するなど、地割れによるリスクを分散させる設計上の配慮を行っています。
引き続き、このような観点により、学校施設の安全性の確保に努めて参ります。
「地震に関する防災アセスメント調査」について
▶後藤香織
次に、防災アセスメントについて、知事にお聞きします。
国は、県内7つの活断層のうち、警固断層帯、福智山断層帯の2つを地震発生確率が高いSランクに位置付けています。
警固断層帯は、2005年の福岡県西方沖地震により、上半分と下半分が「ねじれ」の状態となって危険度が増した上、福岡市という都市の直下で大きな被害が出る可能性があると、一部の専門家が指摘をしています。
一方で、ランク「不明」の断層帯は「すぐに地震が起きることが否定できない」ものであり、リスクが顕在化しないためにリスクそのものが過小評価され、対策が後手に回ってしまうことも懸念されています。
県は、地域防災計画の地震による被害想定を作るための根拠として、これまでに、3度「地震に関する防災アセスメント調査」を実施しています。
日向峠-小笠木峠断層については、2017年2月に国が主要活断層として追加指定したことから、県が行った最新の2011年の「地震に関する防災アセスメント調査」では、現在指定されている7つの活断層のうち、日向峠―小笠木峠断層のみアセスメントが行われませんでした。
昨今では、全国各地で地震が頻発しています。
1997年以降もこの日向峠―小笠木峠断層上でも地震は起きており、より有効な地震対策には、防災アセスメントが欠かせないと考えます。
そこで2点目に、こうした状況や最新の2011年の調査から12年経過することを踏まえると、日向峠-小笠木峠断層帯を含む、県の「地震に関する防災アセスメント調査」を改めて実施すべきと考えますが、知事の見解をお聞きします。
▶知事
県は、地震による被害想定を把握するため、これまで3回、「地震に関する防災アセスメント調査」を実施しています。
直近の平成24年の調査では、県内4地域において、もっとも大きな被害をもたらすと考えられる4つの活断層について、被害想定を行っています。
併せて、これら以外の活断層にも地震が発生する可能性があることから、各市町村において、震度6弱程度の地震が発生したと仮定した被害想定も行い、県や市町村の地域防災計画に反映させています。
現在、国は、今年度末を目途として、「南海トラフ巨大地震」の被害想定の見直しを公表することとしています。
県としては、こうした地震による被害想定が見直された場合には、地震に関する防災アセスメント調査を実施する必要があると考えています。
要望
▶後藤香織
ご答弁をいただきました。
地震対策の強化について、知事と教育長に要望をさせていただきます。
教育長からは、県立学校建築時に活断層の考慮をする旨のご答弁がありました。
しかしながら、既存の活断層上にある学校に対しては、その場所からの移設がすぐに可能ではない現状と考えます。
したがって教育長におかれましては、活断層の上や近接する地域にある学校での震災避難訓練については、活断層の位置を踏まえた震災避難訓練の実施の徹底を要望いたします。
また、知事からは「地震に関する防災アセスメント調査」の実施可能性について、答弁がありました。
例えば、徳島県では、活断層を踏まえた一定の区域内で特定の施設の新築等を行う者は、あらかじめ、県へ届出・協議をしてから自分自身で活断層の調査を行い、活断層の直上を避けて新築等をすることを定めています。
こういった県での条例の制定や、活断層をより配慮した建築物に対する地震対策を国へ要望していただきたくお願いをいたしまして、私の一般質問を終わります。
ご清聴ありがとうございました。
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