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2024年2月定例会・一般質問における私の質問、「多文化共生社会実現のための対応について」の内容です。

2024.3.5

「FUKUOKA IS OPENセンター」の開設にあたっての課題と新規事業の実施について

▶後藤香織

皆さん、こんにちは。

民主県政クラブ県議団 早良区選出の後藤香織です。

本日は2つのテーマについて、知事と教育長にお聞きします。

まずは「多文化共生社会の実現に向けた対応について」です。

日本に在留する外国人は2023年6月末時点で約322万人、外国人労働者の数は、同年10月時点で約204万人と、初めて200万人を超えました。

「技能実習」については、昨年8月、技能実習生を雇う7,200を超える事業所で法令違反が発覚しました。

こういった厳しい職場環境も要因となり、2018年~2022年の5年間で、約3万9900人、本県でも1,679人の技能実習生が失踪しており、制度上の大きな課題です。

国連人権機関などから毎年のように人身売買などと、指摘されてきたことから、国は、技能実習制度を廃止し、新たな「育成就労」制度を創設する方針を示しました。

また、昨年8月には、特定技能2号の受入れ分野が拡大しました。

この規制緩和により、全国で17万人以上いる特定技能1号の方々に対しても特定技能2号への道が開かれました。

これにより家族帯同も可能となることから、今後は、より多くの外国人労働者と関連する方が増加すると見込まれます。

このように昨年2023年は、国の外国人受入施策に、大きな方針転換があったといえます。

しかしながら、いくら外国人が増えても、福岡県において、その方々を受け入れる適切な環境が整っていなければ、これまでのように帰国や失踪、ひいては犯罪に手を染めるきっかけともなります。

この観点から、急増する外国人材に対応する多文化共生社会実現のための取組についてお聞きします。

今回出された予算案には、新規事業として「海外人材活躍推進事業費」があり、特に「FUKUOKA IS OPENセンター」は、全国にも例を見ない労働局、入管も一体となったワンストップ相談センターであり、こういった国・県・関係団体が連携した信頼のおける機関ができることを望んでいた者として、そして、在住外国人の方々が、もっと福岡県を好きになってもらうために必要なものと、大変期待を持っております。

そこで1点目に、そこでまずはじめに、知事は「FUKUOKA IS OPENセンター」の開設にあたり、どのような課題を感じ、この事業を新規で実施しようとお考えになったのか、お聞きします。

 

▶知事

県では、令和元年、アクロス福岡の県国際交流センター内に福岡県外国人相談センターを設置し、在住外国人の生活や就労等に係る相談に多言語で対応してきました。

しかしながら、寄せられる相談は多岐にわたり、例えば転職に係る相談には、在留資格の変更や新たな職探しなど、内容に応じて、さらに複数の機関に尋ねる必要があり、相談者にとって時間と手間を要する場合もありました。

また、県内の留学生に対して、県留学生サポートセンターにおいて、就職支援を行ってきましたが、

①就職したものの、職場の人間関係に対する不満や業務のミスマッチなどにより離職する人も多い。

②企業側においても、言葉の壁や慣習、文化の違いなどで、留学生の採用に踏み切れない。

などの課題が見られます。

さらに、昨今の労働力不足、人材不足が深刻化する中、専門学校を卒業する留学生の就労に係る在留資格が緩和されることにより、今後ますます企業と留学生をつなげていくことが求められます。

そのため、今回、県と福岡出入国在留管理局や福岡労働局、JETRO福岡などの海外人材専門機関と一体となった「FUKUOKA IS OPENセンター」を開設し、生活や就労、在留資格等に係る相談をワンストップで対応できる体制を構築するとともに、専門学校を含む留学生や県内企業を対象にインターンシップや合同企業説明会などを実施することにより、留学生の就職を支援することとしたものであります。

 

技能実習制度等の変更に伴う影響及びセンターにおけるサポートについて

▶後藤香織

また、技能実習制度の変更、特定技能2号の受入れ分野の拡大といった受入制度の変更に伴い、外国人労働者およびそのご家族が増加することによる本県への影響について、お聞かせいただき、それに対し、センターでは、どのようなサポートを行っていくのか、お伺いします。

 

▶知事

現在、国において、技能実習制度を廃止し、人材確保及び人材育成を目的とする育成就労制度を創設することが検討されています。

また、昨年8月、一定の専門性や技能を有し、家族帯同ができる在留資格「特定技能2号」の受入れ分野が2分野から11分野に拡大されました。

この育成就労制度は、受入対象分野が特定技能と連動しているため、企業による長期雇用が可能となるとともに、就労期間や日本語能力などの一定の要件のもと、本人の意向による転籍が認められることが検討されています。

また、家族帯同が可能となる特定技能2号の対象分野が拡大されたことにより、2号として働く方が増えるにつれて、配偶者の就労や子どもの教育といった相談が、今後、増えることが想定されます。

このようなことに対して、国が設置した「技能実習制度及び特定技能制度の在り方に関する有識者会議」の最終報告書では、今回の制度変更に伴う自治体の役割として、外国人からの生活相談等を受ける相談窓口の体制整備や、国と地域のネットワーク構築などを提言しています。

このため、FUKUOKA IS OPENセンターにおいて、先ほど申し上げた国の機関以外に、県弁護士会や行政書士会などの専門機関も一体となり、家族を含む就労や生活上の困りごとを適切な支援につなげられるよう相談体制の強化を図り、多種多様な相談にワンストップで対応してまいります。

 

外国人労働者の労働環境の改善について

▶後藤香織

東洋経済によると、2022年の本県の業種別労働者の外国人依存度は、農業が45人に1人で全国11位、卸売業・小売業が78人に1人で全国13位となっており、外国人材に頼っています。

新たな「育成就労」制度では、条件を満たせば「転籍」も可能となる予定です。これにより、本県も含めた地方においては、また本県内の地域においても、より給料が高く、利便性の良い都市部の企業へ移動してしまうことも懸念され、地方の人材不足が解消されない事態も起こりえます。

そこで2点目に、外国人労働者の労働環境の改善について、どのような取組を行っているのか、今後どのように雇用主側に働きかけていくのか、知事にお尋ねします。

 

▶知事

県では、行政書士会に委託して外国人材の定着・能力発揮のための職場環境整備等に関する企業からの相談を受ける専用窓口を令和元年度から設置しています。

専用窓口では、これまでに、外国人材の受入れに必要な要件や手続きなど、計845件の相談を受け付けています。

また、県内の企業が外国人材の受入れに当たって知っておくべき法令や実際の受け入れ事例等を学べる講習会を令和元年度以降に計135回実施し外国人材の受入れに関心のある企業・団体から1,912人が参加しています。

さらに、来年度当初予算案において、行政書士等による企業への出張相談や外国人材の雇用に係る制度改正等に関する情報を集約する専用ホームページの開設に関する経費をお願いしているところであります。

今後とも、福岡労働局や外国人技能実習機構等の関係機関と連携しながら、外国人材が受入企業に定着し、十分にその能力を発揮できるよう、賃金等の適正な労働条件の確保やハラスメントの防止など、労働環境の改善に取り組んでまいります。

 

日本語教育の基本的な方針の策定および今後の取組について

▶後藤香織

環境整備には、日本語教育も欠かせません。

2019年6月に施行された「日本語教育の推進に関する法律」いわゆる日本語教育推進法で「地方公共団体は、国の基本方針を参酌し、地域の実情に応じ、日本語教育の推進に関する施策を総合的かつ効果的に推進するための基本的な方針を定めるよう努める」とされています。

そこで3点目に、県内において、日本語教育を推進するために、基本的な方針の策定についての見解をお伺いするとともに、今後どのような取組を行うのか、お聞きします。

 

▶知事

日本語教育推進法に基づく国の基本方針が令和2年に策定されたことを受け、県では、外国人材が身近な場所で日本語教育を受けられる環境の整備や、日本語指導が必要な外国人児童生徒に対する支援など、本県の基本的な方針を盛り込んだ県総合計画を令和4年3月に策定したところであります。

日本語教育を進めるに当たっては、「福岡県外国人材受入対策協議会」に、国、市町村、地域国際化協会、日本語教育専門家などで構成する「外国人材日本語教育部会」を設置しています。

この部会において、日本語教室空白地域の解消や学習指導者の確保等に係る方策を検討し、それを受けて県では、直方市、古賀市及び苅田町の3市町をモデルとした日本語教室の運営体制の構築や、教室運営のコーディネーターやボランティアなどの人材育成に取り組んでいるところであります。

今後、育成就労制度の創設や特定技能の制度見直し等により、外国人材やその家族が増えていくことが見込まれます。

県としては、この「外国人材日本語教育部会」において、今後の日本語教育の在り方を議論してまいります。

 

「登録日本語教員」の国家資格創設に伴う対策について

▶後藤香織

日本語学習者は、コロナ禍前の2019年、過去最高の約28万人と10年前と比較し、約10万人増えたものの、それを教える日本語教師は、約3万1千人から約4万6千人と、その増加率に追い付いていません。

本県でも、コロナの影響がなくなり、海外からの人流が戻ってきた昨年度より、日本語学校に通う留学生が増加しており、日本語教員が不足しているのが、現状です。

来年度2024年4月からは、日本語学校が法務省告示校から文科省の認定校へと変更し、さらには、国家資格「登録日本語教員」が創設されます。

こういった制度の大変革に現在、日本語学校で働く方々から不安の声を聞きました。

文科省も「登録日本語教員」が外国人の子どもへの支援を行う仕組みを検討しており、「登録日本語教員」のニーズは高まると予想されます。

文化庁の「地域における日本語教育の在り方について」によると、今後、地方公共団体が地域における日本語教育の体制整備を進めるために、日本語教育の専門性を有する日本語教育機関との連携を図る必要がある、とされています。

例えば、静岡県では、日本語教師養成講座を開設している日本語学校において、受講生及び修了生への周知を行い、登録者募集に協力してもらう「地域日本語教育人材情報バンク」を作っており、日本語教師不足への対策として有効だと考えます。

そこで4点目に、「登録日本語教員」の国家資格創設に伴い、県として今後増やすための対策をすべきではないか、と考えますが、知事の見解をお聞きします。

 

▶知事

国においては、新たな国家資格「登録日本語教員」が今年4月に創設されることに伴い、来年度から、その養成機関及び実践研修機関の認定が開始され、試験が11月に実施される予定であります。

それに先立ち、昨年、文化庁の「日本語教師養成・研修推進拠点整備事業」の委託を受け、日本語教師養成課程を有する福岡女子大学が拠点校となって、「日本語教師養成コンソーシアム九州・沖縄」が組織されており、本県も参画しています。

県としては、今後、このコンソーシアムを通じ、九州・沖縄の大学、日本語学校、地域の国際交流協会など他の参画団体と連携し、

①実践研修機関が行う教師養成研修の質の向上

②地域の日本語教室に係る調査

③日本語教師を目指す人のキャリアサポート

などの取組を行うことにより、日本語教師の育成につなげてまいります。

 

日本語指導が必要な児童生徒への更なる細やかな支援のための県の取組について

▶後藤香織

次に、学校における取組について、教育長にお聞きします。

小中学校における、日本語指導が必要な児童生徒は、10年間で1.8倍に増加しています。

本県でも、2021年度調査では388名で、増加傾向にあり、その国籍や母語も今後ますます多様化していくことが想定されます。

現在、小中学校においては、国の示す日本語指導が必要な児童生徒18人につき1人の割合で段階的に教員の基礎定数化が進められていますが、全く日本語がわからない状態で転入してくる児童生徒もおり、先生方もその対応に苦慮しているとの声を聞きます。

そこで5点目に、日本語指導が必要な児童生徒への更なる細やかな支援のための今後の取組をお聞きします。

 

▶教育長

県教育委員会においては、日本語指導のための教員配置のほか、本年度の「日本語指導担当教員等指導力向上研修」では、学生ボランティアの活用や翻訳機能を備えた端末貸与等を実施している市町村の実施例を取り上げました。

この他、カリキュラム編成や指導方針等について、令和2年度から3年間、日本語指導に関する実践研修を行い、個別記録シートの活用や教材の工夫など、研究の成果をリーフレットにまとめて周知を行ったところであります。

また、多様な国籍や母語を持つ児童生徒の受入れにあたっては、NPOなどの支援団体との連携や地域ボランティアの活用も有効であり、こうした事例についても、今後研修を通して周知して参ります。

 

外国人生徒に対する高校教育の機会の確保及び学習継続支援について

▶後藤香織

高等学校年齢相当の外国人生徒に対する支援についてお聞きします。

2021年の文部科学省調査では、大学等への進学率は、全高校生等で73.4%に対し、日本語指導が必要な生徒等は51.8%、中途退学率は、全高校生等で1.0%に対し、6.7%と、学習の継続や進学は容易ではありません。

例えば「特定技能2号」の家族帯同者の子どもは「家族滞在」の在留資格になります。この「家族滞在」の子どもたちは日本でフルタイム就労ができませんが、義務教育を修了し、高校を卒業すれば就労が可能な「定住者」の在留資格を得ることができます。

今後増えると見込まれる「家族滞在」の子どもたちにとって、「高校卒業」の価値は非常に大きいと考えます。より多くの外国人の子どもたちが高校を卒業できる細やかな支援が必要です。

高等学校では、本年度4月より日本語の授業を「特別の教育課程」として21単位まで単位認定が可能となりました。

そこでこの項の最後に、外国人生徒への県立高校入試や日本語授業の実施状況、学習継続支援の取組の現状をお示しいただき、受入れの拡大など、今後のさらなる取組について、お聞きします。

 

▶教育長

県立高校入試におきましては、外国人生徒等を対象として、特別学力検査を19校で実施しているほか、一般入試においても、学力検査時間の延長や、振り仮名付き学力検査問題の仕様といった特別措置を講じています。

今回の入学者選抜におきましては、特別学力検査については17人、一般入試の特別措置については3人の志願がありました。

なお、こうした措置につきまして、中学校や福岡県ホームページ等を通じて周知しているところでありますが、さらに今年度は、福岡出入国在留管理局と連携し、外国人相談窓口の職員等に対して説明を行い、制度の周知を図ったところであります。

また、入学後の学習継続支援としては、外国人生徒等一人一人の日本語能力等の実情に応じて、一部の授業については在籍学級以外の教室で個別の指導を行う、いわゆる「取り出し指導」を行ったり、一人一台端末などのICT機能で多言語翻訳アプリを活用した支援を行ったりしています。

今後もこうした適切な配慮を行うことにより、外国人生徒等の教育機会の確保に努めてまいります。

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