2024年2月定例会・一般質問における私の質問、「県立図書館の充実について」の内容です。
2024.3.5
Contents-目次-
県立図書館の果たす役割について
▶後藤香織
県立図書館の充実について、教育長にお聞きします。
図書館は、地域住民の要求に応じて、情報提供のためのサービスを行う施設であり、地域の情報拠点として、また文化的にも、非常に重要な役割を果たしています。
特に、県立図書館には、福岡県150年の歴史に係る図書資料が多くあり、後世に繋ぐ貴重な資料が集積されています。
今回は、県立図書館の利用を促す観点から、そのサービスの充実について、質問してまいります。
まずはじめに、県立図書館の果たす役割について、他の市町村立の図書館との役割分担をどのようにお考えか、お聞きします。
▶教育長
県立図書館は、専門書や郷土資料を含め、各分野の図書を豊富に収集・保存・提供することで、「知」の集積・発信の拠点として役割を果たしています。
一方で、市町村立図書館は、地域に根差して貸出などの直接的なサービスを中心に行うことで、住民の読書を推進し、住民の学びや地域文化発展に貢献しています。
このため、県立図書館では、市町村立図書館職員向けの研修や相談対応により、人材育成を支援するとともに、県内図書館の資料を横断的に検索できるシステムや市町村間で資料の貸し借りをする相互貸借等を通じて、市町村における図書館サービスを積極的に支援しています。
県立図書館の利用者増に向けた取組について
▶後藤香織
22年度の利用状況をみると、貸出冊数が全国13位で約43万5千冊、レファレンス件数は全国3位で約5万8千件と全国平均を上回る一方、年間来館者数は全国28位の約21万5千人、と全国平均を下回る状況が続いています。
コロナ禍前の2018年の年間来館者数は、約32万5千人であり、大幅な回復は見られていません。
本県の県立図書館への予算をみると、図書資料費は、全国平均以上であり、充実した内容だと思いますので、ぜひより多くの方に県立図書館を、利用していただきたいと思います。
そこで2点目に、利用者・登録者増に向け、例えば、デジタル化推進、新たに団体貸出の実施を検討するなど、利便性の向上が必要ではないかと考えますが、今後、どのような取組をおこなっていくのか、お尋ねします。
▶教育長
県立図書館では、現在、電子書籍の提供や収蔵資料のデジタル化、最寄りの図書館で資料の受取・返却ができるサービスを実施しています。
さらに、非来館型サービスを推進し、今月からスマートフォンひとつで利用者登録などが手軽にできるよう改善を図っています。
今後とも、各種サービスの周知を図るとともに、団体貸出といった新たなサービスについても検討するなど、利便性の向上に努めてまいります。
県立図書館の収蔵能力について
▶後藤香織
現在、全国的にも、図書館の収蔵能力が足りないことが注目されています。
本県立図書館は、蔵書数は全国35位の約85万6千冊ですが、収蔵能力を保つには、書架を増設し収蔵能力をあげるか、または、除籍等の処分等を行うことが必要となります。
そこで3点目に、図書資料の収蔵能力について、現在何%を使用しているのか、またあと何年で収蔵能力の限界を超えると見込んでいるのか、あわせて、毎年の購入・寄贈件数と除籍・廃棄件数をお示しいただき、今後どのように収蔵能力を保つつもりか、お答えください。
▶教育長
県立図書館では、現在、収蔵できるスペースの約94%を使用していますが、昨年度は、購入等により約1万5,000点を受け入れ、国立国会図書館においてデジタル化されているものなど、約2万5,000点を廃棄したところであり、当面、収蔵能力を超えない見込み状況であります。
今後とも、資料のデジタル化や市町村立図書館との分担保存などを進めることで、現有の収蔵スペースを維持しつつ、図書資料の質を確保してまいります。
子ども図書館の更なる充実について
▶後藤香織
次に、サービス向上について伺います。
現代の子どもはインターネットの発達により読書離れが憂慮されます。
県では、2002年、旧県議会議員会館を活用し、県立図書館の別館として「子ども図書館」を開館しました。
子どもの読書活動の推進の役割を担う子ども図書館の開館は、非常に意義あるものと思います。
より多くのこどもたちに本に親しんでほしいと考えます。
そこで4点目に、子ども図書館の更なる充実について、どのようにお考えなのか、教育長の見解をお聞きします。
▶教育長
子ども図書館は、約10万5,000冊の蔵書を有し、子ども専用の閲覧スペースを設けるとともに、専任職員を配置することで、おはなし会などの催しをはじめ、司書研修やボランティアの養成・支援など、多様なサービスを提供しています。
今後とも、発達段階に応じた図書資料の整備を行うとともに、児童生徒の一人一台端末による電子書籍の活用方法について紹介するなど子ども図書館の充実に努めてまいります。
県立図書館における読書バリアフリーへの取組について
▶後藤香織
また2019年には「視覚障がい者等の読書環境の整備の推進に関する法律」いわゆる「読書バリアフリー法」が施行されました。
障害の有無に関わらず、すべての人が読書による文字・活字文化の恩恵を受けられるようにするため、さまざまな障害のある方が、利用しやすい形式で本の内容にアクセスできるようにすることをめざしています。
例えば「サピエ図書館」は、視覚障がいのある方などに対して、各種図書データを提供する全国的なネットワークで、本県立図書館も加盟しています。
そこでこの項の最後に、県立図書館では、「サピエ図書館」の活用も含め、障がいのある方へどのようなサービスを行っているのでしょうか。その実績も併せてお示しください。法の目的と理念に則り、情報環境の改善と資料の量的拡充が必要と考えますが、今後の取組と教育長の決意をお聞きします。
▶教育長
県立図書館では、視覚障がいなどにより、読書が困難な方に対し、音声や文字の拡大等により読書が可能となるよう、マルチメディアデイジーをはじめとする各種バリアフリー図書や支援機器を整備しています。
加えて、ボランティアの協力を得て製作したバリアフリー資料を国立国会図書館やサピエ図書館と連携して県内外の障がいのある方に提供しており、こうした書籍等の利用は、昨年度、約4万8,000冊となっています。
県教育委員会としては、本議会において、読書支援機器の整備など、県立図書館における読書バリアフリーサービスの一層の充実を図るための予算をお願いしているところであり、今後とも、福岡県読書バリアフリー推進計画に基づき、障がいの有無にかかわらず、読書に親しむことができる環境づくりを推進してまいります。
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