2024年12月定例会における私の代表質問、「選択的夫婦別姓に対する知事の認識について」の内容です。
2024.12.6
旧姓の通称使用では対応できない県の手続について
▶後藤香織
次に、選択的夫婦別姓に対する知事の認識についてお聞きします。
選択的夫婦別姓制度は、夫婦の姓について、現行の、夫婦が同じ姓ででないと認められない「夫婦同姓」か、または、婚姻により姓を同一にしなくて良い「夫婦別姓」か、を選択できる、というもので、夫婦別姓を強制しているわけではありません。
法務省が把握する限りでは、夫婦同姓制度の国は、世界で日本のみです。
今年10月には、国連の女性差別撤廃委員会から、夫婦同姓を改めるよう4度目となる勧告を受けました。
ことし4月にNHKが実施した世論調査では、国民の6割が支持し、ことし6月には、経団連も、通称使用によるトラブルが「企業にとっても、ビジネス上のリスクとなり得る事象であり、企業経営の視点からも無視できない重大な課題」だとして、「不自由なく自らの姓を選択できる制度の実現」を求めました。
現在、国内では旧姓の通称使用ができるようになっていますが、例えば、税金関連の手続きや、通称を使用する従業員がいる企業側の事務の煩雑化、結婚・離婚といったプライバシーが知られること、海外においてパスポートの戸籍名と通称との違いに説明が必要であることなどが、現行制度での、いわゆる「不都合」の例として挙げられています。
女性経営者へのアンケートでは、結婚離婚に伴って姓を変更することで、6割以上の方が不便・不都合を感じたことがある、と回答しています。
そこで、知事にお聞きします。
現在、県民が県で手続き業務を行う際に、旧姓の通称使用では対応できないものにはどんなものがあるのか、具体例をお示しください。
▶知事
県民個人が県に申請する国家資格や免許の中でみると、准看護師の免許の交付については、旧姓の通称使用に対応していません。
これについては、現在、マイナンバーとの連携が可能となるよう国において「国家資格等情報連携・活用システム」を構築しているところであります。
来年秋以降、国のシステムと連携し旧姓併記が可能となるよう準備を進めているところであります。
県職員の旧姓使用について
▶後藤香織
また、県庁職員の、旧姓の通称使用の現状をお示し下さい。
▶知事
県では、アンダ婚姻等により戸籍上の氏を改めた後も、職員の給与支給に関する文書や採用・退職の辞令書等を除き、旧姓を使用できる制度を平成12年1月から導入しています。
昨年度は、対象職員のうち約6割が旧姓を使用しています。
「選択的夫婦別姓制度」について
▶後藤香織
ことし9月、共同通信が全国の自治体首長に実施した、選択的夫婦別姓への賛否に関する調査では、本県内60市町村のうち、73%の首長が賛成・容認、20%が反対、8%がどちらでもない、とし、全ての都道府県では、賛成の立場を取る首長が半数以上となっています。
この調査で、知事は選択的夫婦別姓について、賛成とも反対ともお答えになりませんでした。
47都道府県知事の22人が同様に賛否を表明しておられませんが、23人の知事は「賛成」と回答されています。
そこで改めてお伺いします。ジェンダー平等を掲げてきた知事の選択的夫婦別姓制度について、お考えをお聞かせください。
▶知事
結婚に際して、いずれか一方が必ず姓を改めなければならない現行の法制度は、改姓をする側にとっては、職業や日常生活での不便・不利益、アイデンティティの喪失など、活躍を阻害する大きな要因の一つとなっているとの指摘があります。
こうしたことから、選択的夫婦別姓制度の導入に係る議論を加速させる必要があると考えています。
一方、我が国の夫婦同姓制度の歴史の中で培われてきた家族の一体感や、子どもの姓が父又は母の姓と異なることにより対人関係で生じる心理的負担等、子どもへの影響を考慮しなければならないなど、導入に慎重であるべきという意見があることも承知しています。
このため、選択的夫婦別姓制度の導入については、こうした国民各層の意見を丁寧にくみ取り、また国会における議論や司法の判断を踏まえ、国において、幅広い国民の理解を得られるよう検討を進めていただきたいと考えています。
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