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2024年12月定例会における私の代表質問、「地域公共交通の維持に向けた取り組みについて」の内容です。

2024.12.6

地域公共交通の維持について

▶後藤香織

次に、地域公共交通の維持に向けた取り組みについてお伺いします。

少子高齢化や都市部への人口集中による地方の過疎化、さらにはコロナ禍を経てテレワークやリモート会議等、人の移動を伴わない新しい働き方が浸透したことも相まって、地域公共交通を維持することが厳しい状況が続いています。

公共交通は多くの方々が通学・通院に利用されている事など、教育・福祉の観点からも地方では社会的に大きな役割を担っています。

また、こうした状況が続けば、インバウンド需要も高まりを見せる中、観光サービス産業への影響も避けることができず、事業者と関係自治体との連携がこれまで以上に重要になると考えます。

そこで、はじめに地域公共交通の維持に向けて、県のトップである服部知事はどの程度、問題意識をお持ちなのか、また県内の公共交通事業者への支援について、どのようにお考えかお答えください。

 

▶知事

鉄道や乗合バスなどの地域公共交通は、通勤、通学、通院、買物といった地域住民の日常生活や観光の際の移動手段として不可欠なものであり、経済活動を支え、観光振興を図る上でも重要なものであると認識をしています。

しかしながら、地域公共交通を取り巻く環境は、少子高齢化に伴う人口減少による輸送人員の減少や、エネルギー・資材価格の高騰などにより、大変厳しい状況にあります。

こうした状況を受け、県では、一昨年度から3回に渡り、国の交付金を活用して、地域鉄道、乗合バス及びタクシー事業者に対し、事業継続のため、燃料費上昇分に対する支援を行いました。

また、乗合バスについては、これまで、広域行政圏の中心となる都市や鉄道駅などを結ぶ広域的・幹線的な路線を維持・確保するため、複数市町村にまたがるバス路線を運行する交通事業者に対し、国と協調して、運行経費や車両購入費に係る助成を行っています。

さらに、鉄道についても、国や市町村と連携して、鉄道事業者が行うレールや枕木の交換、信号保安設備の更新など、列車の安全な運行に要する費用に対する助成を行っているところであります。

こうした支援により、地域公共交通の維持・確保を図っています。

 

県内市町村の地域公共交通計画の策定について

▶後藤香織

本県では、福岡県地域公共交通計画「福岡県交通ビジョン2022」を策定し、その維持・確保に努めていますが、地域公共交通計画は、2020年に地方公共団体による作成が努力義務化されました。

国土交通省によると2024年8月時点で、本県内で地域公共交通計画を策定している市町村数44市町村となっています。

そこで2点目に、県内全ての市町村において地域公共交通計画が策定されるように積極的に働きかけるべきだと考えますが知事の考えをお聞かせください。

 

▶知事

地域公共交通計画は、地域にとって望ましい地域旅客運送サービスの姿を明らかにするものであり、持続可能な地域公共交通の確保のため重要な役割を果たすものと考えています。

このため、県では、これまで、市町村向けの研修会や説明会において、計画策定の意義や策定後に活用できる国の補助制度について、説明を行ってきました。

この結果、地域公共交通計画の策定市町村数は、法制化された令和2年度末時点の28市町が、今年8月末時点では44市町村となっています。

さらに、来年度までに5市町が策定を予定しているところであります。

引き続き、説明会などの機会を捉え、全ての市町村で計画策定が進むよう促すとともに、未策定の市町村に対しては、個別に働きかけを行ってまいります。

 

自動車運転業務に係る要員確保について

▶後藤香織

次に、自動車運転業務に係る要員確保についてお伺いします。

いわゆる2024年問題を背景に、バスやタクシーのドライバー不足の慢性化による、人流の停滞が懸念されています。

国は、二種免許取得や採用活動等、交通事業者が人材確保のために行う取組に対し、助成を行っていますが、県民の日常生活を支える地域公共交通のドライバーを確保するためには、交通事業者に対する支援に加え、担い手のすそ野の拡大に向けた取組も必要であると考えます。

そこで3点目に、県において、バス・タクシーのドライバー確保に向けた取組を進めるべきと考えますが、知事の考えをお聞かせください。

 

▶知事

県では、昨年11月、学識者、交通事業者、九州運輸局、北九州市、福岡市及び嘉麻市で構成する「福岡県地域公共交通運転手不足問題検討会議」を設置し、運転手不足の現状や課題、必要な対策について幅広く意見を伺ってきました。

この検討会議でいただいたご意見等を踏まえ、今年度から、女性や外国人など多様な人材を運転手として受け入れるために必要なトイレや更衣室の改修、配車アプリの導入など職場環境の整備に対する助成を行っているところであります。

また、これまでバス・タクシーの運転手に関心のなかった若者や女性、外国人の皆様に興味を持っていただくため、運転手の魅力や重要性を発信する特設サイトと動画を制作し、9月に公開しています。

さらに、11月には、天神地下街において、バス・タクシー運転手の魅力を伝えるPRイベントを実施するとともに、県内のバス事業者に御協力をいただき、バス運転体験会・合同会社説明会を開催しました。

このほか、外国人が運転手として働けるよう、全国に先駆け、今年の3月から、第二種自動車運転免許の学科試験を英語、中国語、ベトナム語、ネパール語の4か国語で受験できるようにしており、さらに6月には、対応言語を20か国語に拡大しました。

こうした取組により、運転手の確保に努めてまいります。

 

自動運転サービスについて

▶後藤香織

この項の最後に、自動運転サービスについてお聞きします。

自動運転については、ITS(高度道路交通システム)・自動運転に係る政府全体の戦略である「官民ITS構想・ロードマップ」が2014年に策定されて以降、関係府省庁や民間企業等において具体的な連携や協調に向けた取組みが進められてきました。

そこで、運輸関係の雇用維持に十分配慮をした上で、地域公共交通の維持を推進する観点から、本県における自動運転の事例を踏まえつつ、今後、自動運転サービスを拡充するおつもりはないのかお答えください。

 

▶知事

自動運転は、地域公共交通が直面する運転手不足に対応する手段の一つとして期待されているが、その実施に当たっては、

・ビジネスモデルとして確立ができるのか

・安全運行を支える技術の確立ができるのか

・自動運転による事故発生時の法的責任の在り方など社会的ルールの整備が必要ではないか

といった課題があるとされています。

こうした課題の解決に向け、国においては、2027年度までに全国100か所以上で自動運転サービスの実現を目指しており、現在、全国各地で官民連携の地域協議会が組織され、実証実験が行われているところであります。

本県では、これまで、みやま市内の山川エリア、北九州市内の北九州空港からJR朽網駅間、大牟田市内の中心エリアなど5つの地域で実証実験が行われました。

今年度も、北九州空港エリアと宗像市内のJR赤間駅から自由ヶ丘エリア間で実施することとなっており、県では、それぞれの地域協議会に参画し、最新の知見や課題を共有しているところであります。

今後とも、国の動向や技術の進展をしっかり見据え、県内各地の協議会における自動運転サービスの実現に向けた取組を促していきたいと考えています。

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