2024年12月定例会における私の代表質問、「県営住宅の有効活用について」の内容です。
2024.12.6
県営住宅の入居率の減少要因と空き室解消の取組について
▶後藤香織
次に、県営住宅の有効活用について伺います。
県営住宅を含む公営住宅は、住民生活の安定と社会福祉の増進に寄与する目的で公営住宅法に則って整備されており、その充実は社会において欠かせないものとなっています。
一方で、空き室が増加傾向にあることや施設の老朽化といった課題も少なくありません。
本県の県営住宅は、2023年度末の時点で203団地28,521戸が設置されており、2023年4月現在の平均入居率は83.4%とその率は年々低下しています。
いっぽう、中心市街地や交通利便性が高い所にある県営住宅は入居待ちとなっているなど、アンバランスが生じている状況です。
そこで知事に伺います。
県営住宅の入居率が年々減少している要因について、知事はどのように分析されているのかお教えください。また、空き室解消のために取り組まれている施策をお聞かせください。
▶知事
県営住宅のうち、交通や生活の利便性が低い場所にある団地やエレベーターのない住棟は入居率が低い状況にありました。
また、入居率が年々減少している要因は、県営住宅への入居機会がこれまで年3回の抽選募集などに限られていたことや、60歳未満の方は同居する親族がいないと単身では入居できなかったことなどによるものと認識していました。
このため、昨年度から抽選募集の回数を年3回から4回に見直すとともに、年間を通して先着順で申込を受け付ける常時募集団地を24団地から61団地に増やしました。
また、入居要件を緩和し、同居親族がいない60歳未満の単身者も入居を可能としました。
このことにより、若い方が一人でも入居が可能となり、エレベーターのない住棟にも入居が進んでいます。
その結果、これまで減少傾向にあった入居率が、今年4月1日時点で前年度から0.7ポイント上昇し、84.1%となり増加に転じています。
引き続き、これらの取り組みにより、入居率の向上を図ってまいります。
様々な困難を抱える方への県営住宅の空き室の有効活用について
▶後藤香織
公営住宅の有効活用については、地方分権改革推進委員会「第1次勧告」を踏まえ、各地方公共団体が地域の実情を勘案し、若年単身世帯等に対して公営住宅ストックを弾力的に活用できるようになっています。
全国の取組をみると、様々な困難を抱える方のいわゆる「ステップハウス」として活用されています。
例えば、兵庫県では、予期せぬ妊娠をした特定妊婦が出産後に母子で入居できる部屋として活用されています。
他にも、児童養護施設等退所者の若者等を入居できるようにするなど、就労支援や安定した生活への支援が行われており、非常に良い取組だと考えます。
そこで2点目に、県営住宅の空き室を様々な困難を抱える方等へ、有効活用していただくことを検討してはいかがかと考えますが、知事のお考えをお聞かせ下さい。
▶知事
県営住宅は住宅セーフティネットとして、住宅困窮者の方に低廉な家賃で住宅を提供することが本来の役割であり、一定の収入要件などの入居資格を定め、住宅の提供を行っています。
本来の役割以外にも、県営住宅の空き住戸を活用して、
①平成28年の熊本地震
②平成29年の九州北部豪雨
③昨年の久留米地域での豪雨
④今年の能登半島地震
などの災害で被災された方へ、無償で住宅の一時提供を行っています。
また、「本来の入居対象者の入居が阻害されないこと」を前提に、国の承認を得て、住まいの確保が困難な
①外国人留学生
②若年漁業従事者
③新型コロナウイルス感染症の影響で職を失い住宅困窮者となった方
④ウクライナ避難民の方
の受入など、様々な困難を抱えた方の自立支援を行うため、入居資格を問わずに県営住宅の空き住戸を目的外使用として活用しています。
今後も、「本来の入居対象者の入居が阻害されないこと」を前提として、新たな自立支援策に資するよう、県営住宅の空き住戸の活用を検討してまいります。
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