2024年12月定例会における私の代表質問、「痴漢対策の強化について」の内容です。
2024.12.6
Contents-目次-
痴漢の発生件数の推移及び発生場所について
▶後藤香織
次に、痴漢対策の強化について、警察本部長にお聞きします。
福岡県警察は、「性犯罪の根絶」を昨年までの3大重点目標の一つに掲げて取り組んできました。
その結果、2018年に全国ワースト2位だった本県の性犯罪の認知件数は、2023年にはワースト10位へとやや改善しましたが、根絶には程遠い状況です。
今年から、県警察は7つの活動目標の一つに「性暴力・児童虐待への的確な対処」と、より具体的な目標を掲げて性犯罪の撲滅に取り組んでおられます。
今年7月に公表された内閣府の調査では、若者の約1割が痴漢の被害を受けていますが、周囲や警察に相談していない人も多く、県警鉄道警察隊が2021年に実施したアンケートでは痴漢にあったと回答した方のうち、約4割が被害を相談しておらず、被害が潜在化しています。
そこではじめに、本県の、コロナ禍の2021年から2023年まで3年間の痴漢検挙件数の推移と発生場所をお示しください。
▶警察本部長
検挙件数については、令和3年は113件、令和4年は101件、令和5年は99件で推移しています。
また、発生場所は、電車等の乗物内と路上で半数以上を占めており、次いでショッピングモールなどの商業施設となっています。
被害を潜在化させないための取組について
▶後藤香織
2点目に、被害の潜在化に対し、被害者が相談しやすい体制づくりが必要と考えますが、これについての県警察の取組をお聞かせください。
▶警察本部長
県警察では、24時間体制で対応する、性犯罪被害相談電話「#8103」、通称「ハートさん」のほか、警察相談専用電話「#9110」やメール相談など、広く相談を受ける体制をとっています。
これらの相談窓口については、県警ホームページや防犯アプリ「みまもっち」、各種キャンペーンなど、あらゆる機会を通じて周知に努めています。
また、相談担当職員の研修を定期的に行うほか、相談を受ける際は、適切な場所を選定し、希望する性別の警察官が対応するなど、被害の相談をしやすい環境の整備に取り組んでいます。
受験期における痴漢の被害状況等について
▶後藤香織
これからは高校、大学などの受験が多くなる時期です。
試験に遅刻できない、という受験生の心理につけこみ、共通テストなどに際して「今日は痴漢チャンスデー」「痴漢祭り」などと、受験生、主に女子学生への卑劣極まりない痴漢予告がインターネット上で書き込まれるという状況が近年エスカレートし、全国では実際の被害も発生しています。
これに対して警察庁は昨年11月、全国の警察に対し、受験期のこうした書き込みに対して警告をしたり、サイト管理者などに削除依頼をしたりするよう指示しました。
ことし3月には、警告に従わず痴漢をあおるような投稿を繰り返したとして、愛知県警は男1人を軽犯罪法違反の業務妨害の疑いで書類送検しました。
そこで3点目に、本県でも、こういった悪質な投稿者に対し、検挙することが警鐘になると考えますが、こうした受験にまつわる痴漢予告の投稿者を検挙した事例はあるのか、また、受験期において、実際に受験生を狙った痴漢の検挙事案があるのか、被害の現状をお聞きします。
▶警察本部長
昨今、全国的にSNSで受験生を狙った痴漢行為をあおる投稿が問題となっており、本県では、そのような投稿者の検挙には至っていないが、サイバーパトロール等によりこの種の書き込みの把握を進めており、これを発見した場合は、SNSの管理者等に対して削除依頼を行っています。
また、令和3年以降の検挙事案をみると、受験期といわれる1月から3月までの間で検挙した痴漢のうち、試験会場に向かう途中で受験生が被害者となった検挙事案はありません。
受験期の痴漢対策について
▶後藤香織
4点目に、受験シーズンの痴漢に対しての県警の取組についてお教えください。特に、被害が多いと思われる電車内での対策、交通機関との連携についてお聞かせください。
▶警察本部長
県警察では、受験生が安全で安心して試験会場に到着できるよう、各警察署が管内で実施される高校・大学試験の受験日や会場の把握に努めるとともに、受験当日は、状況に応じて、会場の最寄り駅や会場周辺等において、制服警察官による警戒活動や取締りを強化しています。
また、鉄道事業者と連携を図り、
・ 電車内や駅構内における警戒の強化
・ 痴漢撲滅に向けたポスター掲示やアナウンス
・ 高校生等と協働した痴漢撲滅キャンペーン
などを実施しています。
引き続き、学校や鉄道事業者などと連携し、受験期の痴漢被害防止に向けて全力で取り組んでまいります。
私立高校及び県立三大学の受験日の痴漢被害等に対する取組について
▶後藤香織
文部科学省では、受検生が自然災害や試験会場に向かう途中の事故・事件に巻き込まれた場合や痴漢の被害に遭った場合等には、受検機会を失うことのないよう、追検査や試験時間の繰下げを行うなど、受検機会の確保のための柔軟な対応に努めること、またそれを入学志願者やその保護者、入学志願者の在籍する中学校等に対して、幅広く情報提供をするよう、都道府県教育委員会に要請しました。
そこでこの項の最後に、本県では、私立高校、県立3大学の受験日の痴漢被害等に対し、どう取り組むのか、知事のお考えをお聞かせください。
▶知事
県では、受験機会の確保に関する文部科学省の通知を各私立学校に対しても周知し、柔軟な対応に努めていただくようお願いしているところであります。
この通知を受けて、どのように対応するかは各私立学校の判断となりますが、複数の高校に確認したところ、コロナ禍に感染により受験できなかった受験生に追試験で対応した経験を活かし、痴漢被害等により、やむを得ず受験できない事態が生じた場合にも、追試験により対応するとのことでりました。
県としては、私学協会が毎年開催する経営者研修会において、引き続き、痴漢被害等に遭遇した場合に受験機会が確保されるようお願いしてまいりたいと考えています。
なお、県立三大学については、文部科学省から各大学に通知がなされており、三大学ともに追試験等の対応をすることとしています。
県立高校入試における受験日の痴漢被害等に対する取組について
▶後藤香織
県立高校の受験日の痴漢被害等に対し、どう取り組むのか、教育長のお考えをお聞かせください。
▶教育長
県立高校入試においては、受検者が不慮の事故等により学力検査を受検できなかった場合は、追検査等を実施することとしており、例えば、交通事故や痴漢の被害にあった場合などが想定されます。
この取扱いについては、入学者選抜要項に明記するとともに、各県立高校及び市町村教育委員会に通知し、中学生や保護者等に対して周知を図っています。
今後とも、受検者の個別の事情に応じて、受検機会の確保のための柔軟な対応に努めてまいります。
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