2024年12月定例会における私の代表質問、「服部誠太郎福岡県知事 選挙公約の達成状況について」の内容です。
2024.12.6
Contents-目次-
人財育成に向けたこれまでの取組内容と成果について
▶後藤香織
皆さまこんにちは。
民主県政クラブ県議団の後藤香織です。
会派を代表し、今定例会の民主県政クラブ県議団の代表質問をさせていただきます。
まず、服部誠太郎知事におかれましては、来年の福岡県知事選挙に立候補されることを先月26日に表明されました。
そこで、知事が2021年の最初の選挙で掲げられた公約である、「『未来の扉を開く』はっとり誠太郎 政策集」の達成状況について伺います。
この政策集では「三つの挑戦」を掲げられ、34項目にわたる具体的な施策を示されました。このうち特に4点について伺います。
1点目に、人財の育成についてです。
知事は、未来ある青少年の育成が重要だとされ、夢に向かってチャレンジする青少年を応援する、また、県内各地域で活躍する人財を育成していくとされています。
そこで、これらに具体的に取り組んできた内容と成果を伺います。
▶知事
人財の育成については、私が掲げた3つのチャレンジのひとつとして、しっかり取り組んできました。
まず、子ども達が未来に向けてチャレンジする力を養うため、アンビシャス運動を発展的に継承した「未来子どもチャレンジ応援プロジェクト」を始動しました。
この中で、様々な社会課題の解決等にチャレンジする高校生に対して活動資金の助成や専門家の派遣を行い、その実現を支援しています。
また、子ども達が県内どこでも充実した環境で学ぶことができるよう、県立高校全生徒への1人1台タブレットの配備を実現し、その取組を各私立学校まで広げました。
さらに、実践的な英語能力を身に着けるハイレベルな学びの機会を提供するため、高校生を対象にした異文化理解教育プログラム「Stanford e-Fukuoka」を開講しました。
加えて、世界で活躍できる国際人材を育成するため、県内の大学生等を海外の企業県人会へ派遣し、海外ビジネスに携わる県人会会員の協力を得て、海外ビジネスの現場を体験していただいています。
女性の活躍を更に推進するため、働く女性の交流の場「福岡キャリア・カフェ」を県内各地で開催するとともに、県制度融資に女性向け創業資金を設け、起業する女性を応援しています。
スポーツ分野では、「タレント発掘事業」からパリ五輪で2人のメダリストが生まれました。
一昨年度、対象をパラスポーツ分野に拡大した「フクオカ・パラスター・プロジェクト」をスタートさせたところであります。
半導体人材の育成を強力に推進していくため、昨年8月に開設した「福岡半導体リスキリングセンター」では、これまで8,000人を超える方が受講され、大変ご好評をいただいています。
本県の発展を支えるのは、何よりも人であります。
福岡県の未来を切り拓き、担ってくれる人財の育成に向けたチャレンジは、着実に進展しているものと考えています。
企業誘致の取組と実績について
▶後藤香織
また、知事は、本県の充実したインフラ、地理的優位性などを示され、世界から選ばれる福岡県を目指すと表明されています。
その一つとして、国内外からの企業誘致を目指す、とされていますが、2点目に、その企業誘致にどのように取り組んできたのか、またその実績をお示しください。
▶知事
私が知事に就任して以来、
①空港や港湾、高速道路等の充実した交通インフラ
②全国最安値でゼロエミッション電源比率トップの安定的な電力
③優秀な人材を輩出する理工系大学や高専などの集積
といった本県の強みを活かしながら、企業誘致に取り組んできました。
また、「半導体」「自動車」といった先端成長産業の分野において、「グリーン」をキーワードに、新たなプロジェクトを進めてきたところであります。
こうした中、今年7月には半導体製造の後工程世界トップ企業のASE社が北九州市への進出を検討し、土地売買の仮契約を締結したほか、今年9月にはトヨタ自動車グループと日産自動車の次世代の蓄電池工場の誘致に成功するなど、就任以来、取り組んできた「福岡県グリーンデバイス開発・生産拠点構想」や「北部九州自動車産業グリーン先進拠点推進構想」を大きく前進させる大型誘致案件も出てきています。
私が知事に就任した令和3年から現在までの製造業等の企業誘致件数は、投資計画が明らかにされていないASE社、トヨタ自動車グループと日産自動車の蓄電池工場を除いても212件であり、新たに約8,500人の雇用と約8,500億円の投資が見込まれています。
加えて、国際金融機能の誘致では、「TEAM FUKUOKA」の活動を通じて、香港やシンガポール、台湾等の金融機関、フィンテック企業など33社の誘致に成功し、国際金融機能の集積が着実に進んでいるところであります。
新型コロナで「打撃を受けた地域経済を立て直す」ための取組について
▶後藤香織
具体的な取組施策として「コロナ危機を乗り越える」のうち、「打撃を受けた地域経済を立て直す」の項目について、お聞きします。
コロナ禍によって県内企業に大きな影響がありました。
その対策の一つとして県の制度融資枠を拡大され、政府系金融機関とともにいわゆるゼロゼロ融資で資金繰りを支えてこられました。
しかし、県制度融資のゼロゼロ融資に対し、お金を借りた人が返済できなくなった分を県信用保証協会が代わりに返済する「代位弁済額」は169億円に達しています。
県内企業の倒産件数はここ数年300件程度で推移していますが、今後、本格的な返済がスタートすることを踏まえると、増加することも十分に考えられます。
そこで、「打撃を受けた地域経済を立て直す」ため、どのように取り組んでこられたのか、知事の考えをお聞かせください。
▶知事
令和3年4月、新型コロナが猛威を振るう中、知事に就任し、外出自粛や営業時間の短縮要請等により影響を受けた事業者の皆様の「事業継続支援」や、冷え込んだ「地域経済の活性化」に全力を挙げてきました。
まず、「事業継続支援」については、県内中小企業の事業活動に必要な資金を供給するため、令和3年度には、県制度融資において過去最大規模の融資枠を確保しました。
コロナの影響が長引く中、令和4年度には、新型コロナ関連融資から借り換えることが出来る「経営改善借換資金」を創設し、資金繰りに苦しむ事業者を支援しました。
また、飲食店等にコロナ禍に対応した新たな事業形態を導入いただくため、テイクアウト販売に必要な店舗改装や設備導入など経営革新の取組に対する補助制度を創設し、その実行を支援した。
さらには、売上が減少している事業者を支援するため、ECサイト上で本県の加工食品や工芸品、農林水産物等を販売する「福岡県ウェブ物産展」も実施しました。
令和3年度から3年間で割引クーポンを10回発行し、約60億円を売り上げたところであります。
「地域経済の活性化」については、各地域で発行される地域商品券のプレミアムに対する助成率を平時の100分の3から100分の10へと特例的に引き上げ、令和3年度から3年間で約1,200億円の発行を支援しました。
また、旅行需要を喚起するため、「福岡の避密の旅」観光キャンペーンによる宿泊助成などを実施し、令和3年度からの3年間で380万人を超える方々にご利用いただいたところであります。
コロナ禍の影響を受け経営に苦しむ中小企業への支援について
▶後藤香織
また、未だコロナ禍の影響から抜け出せず苦しむ中小企業が多い中、こうした企業への支援にどう取り組んでいくのか、知事の考えをお聞かせください。
▶知事
中小企業の売上向上を図る「新事業展開」を支援するため、県内4地域に設置している「地域中小企業支援協議会」において、新商品開発や販路拡大のための経営革新計画の策定とその実行支援に取り組んでおり、令和3年度からの3年間で1,663社を支援しました。
その中からは、新たに開発したアウトドア用の「鋳物ポット」が評判となり、売上を40倍に伸ばし、急成長した企業も出ています。
また、業務の効率化を図るための「生産性向上」の支援にも取り組んでいます。
県中小企業生産性向上支援センターにデジタル技術の導入などを伴走支援する専門アドバイザーを配置して現場での助言や設備導入の助成を行い、令和3年度からの3年間で313社を支援しました。
その中からは、これまで熟練者が行っていた食材の選別作業にAIセンサーを導入し、生産性を向上させ、収益改善につなげた企業も出ています。
さらに、資金繰りが悪化した事業者については、金融機関と信用保証協会で構成する「中小企業経営改善・金融サポート会議」を通じ、中小企業診断士などの専門家を派遣し、経営改善計画の策定とその着実な実行を支援しているところであります。
加えて、こうした計画を策定した事業者に対する新たな資金繰り支援として、今年7月には「緊急経済対策資金 経営改善支援型」を創設したところであります。
今後も、本県経済の原動力である中小企業のそれぞれの経営状況に応じ、売上向上や業務効率化による経営改善に向けた支援、またそのために必要な資金繰りの支援に取り組んでまいります。
ジェンダー平等推進の成果と課題について
▶後藤香織
また、男女共同参画から踏み込んで「ジェンダー平等の推進」も公約に掲げられました。
このことは、世界に通用する福岡県を標榜する知事の意識の高さの表れと考えます。
2022年には、わが会派の代表質問での提案を受け、「パートナーシップ宣誓制度」を県で開始し、それを広げるため、県内市町村の行政サービスと連携させるといった取組を実現されていることについて、我が会派は誇らしく思っており、更なるジェンダー平等の推進に向けた政策を期待しています。
また県の管理職に占める女性割合が、昨年4月の時点で全国4番目、本年4月の集計では21%となるなど、まずは、ご自身の足元から実績を作ってこられたと思います。
ただ、県全体を見たとき、市町村や民間企業などにおいて、ジェンダー平等の実現はまだまだ道半ばと感じることも多く存在します。
そこで、この3年半のあいだジェンダー平等を推進するために県として、市町村及び民間企業へどのような働きかけを行ってきたのかお聞かせいただき、あわせて、その成果と課題についてもお答えください。
▶知事
県では、一昨年3月に策定した県総合計画において、新たに「ジェンダー平等の社会づくり」を30の取組事項の一つに掲げ、計画的、総合的に取り組んできました。
市町村に対しては、地域におけるジェンダー平等の現状や課題が明らかにできるよう、審議会等委員の女性割合など市町村ごとに比較できるデータを示し、取組が進むよう働きかけてきました。
また、今年度から始めた「福岡県ジェンダー平等フォーラム」では、市と連携して、県内3か所のサテライト会場で講演会などを開催し、地域でジェンダー平等について考えていただく機会を提供しています。
働く場における女性の活躍推進に向けては、女性の管理職登用を促進するため、階層別研修を実施し、令和3年度からの3年間で100社、延べ249人のキャリアアップを支援してきました。
また、今年度からは、組織トップへの働きかけなどを行う「福岡県女性の活躍応援協議会」に、男性の若手経営者が多い団体に加入いただき、議論の活性化を図っていくこととしています。
これらの取組の結果、民間事業所における管理職や市町村審議会等委員における女性の割合など、一定の改善が見られるものの、職場や家庭・地域等様々な場面で、男女間の格差が依然として存在しています。
いまだに固定的な性別役割分担意識や男性中心の慣行・制度などの課題があり、更なる取組が必要であります。
性の多様性に関する理解促進に関しては、パートナーシップ宣誓者が利用できるサービス拡大のため、市町村や民間企業を訪問し働きかけています。
その結果、県内全ての市町村で、公営住宅の入居申込などの行政サービスが提供されていますが、課題として市町村間で偏りがあることから、引き続き、働きかけを行ってまいります。
また、民間サービスでは、15の福岡県広域地域振興圏域のうち、住宅ローンは全圏域、医療は13圏域、賃貸住宅は14圏域で提供されており、今年度中の全圏域での提供を目指してまいります。
今後の県政を担う決意について
▶後藤香織
この項の最後にお聞きします。
知事ご自身が、新聞のアンケートで回答しているように、人口減少は本県にとっても極めて深刻な問題です。
本年度予算の編成にあたって、知事はその人口減少のほか、少子高齢化、人手不足、賃金と物価の好循環の実現など、先送りできない社会課題の存在を指摘しています。
そこで伺います。
知事は、今後どのような思いでこの先の県政を担おうとされるのか、決意をお聞かせください。
▶知事
私は、新しい県政を進めるにあたり、「次代を担う『人財』の育成」、「世界から選ばれる福岡県の実現」、「ワンヘルスの推進」の3つのチャレンジを掲げてきました。
様々な取組を進めた結果、これらのチャレンジは着実に進展していると考えています。
しかし、私が目指す福岡県づくりは、まだ道半ばであります。
今ここで歩みを止めるわけにはいきません。
現在、我が国は、外を見れば、安全保障、外交、経済などの分野において、かつてない厳しい国際情勢の中におかれています。
そして、内を見れば、賃金と物価の好循環の実現による30年間続いたデフレからの脱却、人口減少・少子高齢化への対応、大規模自然災害からの復旧・復興、今後発生する可能性のある新興感染症への対応など、非常に複雑かつ困難な課題に直面しています。
こうした課題に真正面から取り組み、県民の皆様の命を、健康・生活を守ることを第一としつつ、福岡県の未来を見据えて成長発展を加速させ、九州、さらには日本の発展に貢献することができるよう、持てる力の限りを尽くしてまいる考えであります。
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