https://www.gotokaori.com/wp-content/uploads/2022/11/fukidashi_80_80.png

2025年2月定例会・一般質問における私の質問、「不登校への支援について」の内容です。

2025.2.13

相談・支援を受けていない不登校児童生徒への支援について

▶後藤香織

皆さまこんにちは。

民主県政クラブ県議団 早良区選出の後藤香織です。

「不登校への支援について」教育長にお聞きします。

2016年にいわゆる「教育機会確保法」が成立し、2017年の施行から8年が経過しました。

法では、学校に行けない・行かない「不登校」は問題行動ではないこと、登校することだけを求めるのではなく、その児童生徒1人ひとりに多様な教育の機会を確保することが重要だと謳われています。

今回は、この教育機会確保法の趣旨に鑑み、多様な教育を進め、全てのこどもたちに教育機会を確保するため、以下、質問してまいります。

義務教育段階の不登校児童生徒の数は増加の一途をたどり、昨年10月、文科省の「児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査」によると、2023年度の不登校児童生徒数は、小学校130,370人、中学校216,112人の合計346,482人で、過去最多となりました。

法成立前の2015年と比較すると、約3倍と急増しています。その割合は、小学校は2.14%で47人に1人、中学校は6.71%で15人に1人と、1クラスに1~2人という状況です。

本県では、小・中学校で18,148人であり、2017年度と比較して約3.2倍となってます。

不登校児童生徒への現在の支援は、学校内にて、スクールカウンセラーとの面談や、保健室とは別の居場所などで支援する校内教育支援センターなどがあります。

例えば、福岡市でも、タブレットを使ってオンライン授業を自宅で受けることができる他、オンライン授業を校内の別教室で受けることができる「ステップルーム」を全ての中学校に設置し、そこに教育相談コーディネーターを配置しています。

学校外における支援では、教育支援センター(適応指導教室)やフリースクールやオルタナティブスクールなどの民間団体に通うことで支援を受けることができます。

このように、教育機会確保法施行後、不登校児童生徒に対する学内・学校外で支援を受ける制度自体は増えてきています。

しかしながら、アメリカ、カナダ、イギリス等では「ホームスクリーニング」が法律で認められ、不登校の枠組みではなく、教育方法の選択肢の一つとして自宅での学習体制が確立されています。

こういったことと比較しても、日本の、全ての子どもの学びの機会の確保は、制度はあるものの、その整備も当事者まで十分に行き届いておらず、課題が生じているのではないかと考えます。

そこではじめに、本県の不登校児童生徒のうち、学内・学校外、どちらの相談・支援も受けていない児童生徒はどのくらいいるのか、お示しください。

全ての不登校児童生徒に対し、教育の機会が確保されることが望ましいと考えますが、何も相談・支援を受けることができていない児童生徒に対し、今後、県としてどのように、相談・支援につなげるために取り組んでいくのか、教育長のお考えをお聞かせください。

 

▶教育長

昨年度、本県の公立小・中学校における不登校児童生徒17,859名のうち、学校内外の機関等で専門的な相談・指導等を受けていない児童生徒は、全体の約4割にあたる、7,028名でありました。

このような児童生徒を適切な相談・指導等につなげるため、各市町村が設置する教育支援センターの充実を図るとともに、不登校支援リーフレットを作成し、相談や支援を受けることができる学校外の施設の情報を不登校児童生徒やその保護者に届けています。

県教育委員会としては、不登校児童生徒が悩みを抱えて孤立せず、適切な相談や支援を受け、社会的自立や学校復帰につなげられるよう、これまでの不登校支援に係る事業の検証もしつつ、市町村教育委員会や不登校児童生徒の支援にあたる関係機関と連携して取組の充実を図ってまいります。

 

「出席扱い」とする不登校児童生徒について

▶後藤香織

国では、学校外の民間施設等において相談・指導を受けている児童生徒の努力を、学校として評価し支援するため、2019年より、一定の要件を満たす場合には「出席扱い」とする措置を行っています。

しかし、「出席扱い」については、学校長の判断となっており、一律な基準がなく、民間のフリースクールなどでは、必ずしも「出席扱い」となるわけではないのが実態で、学びの場の保障は不十分だと感じます。

山梨県教育委員会では、昨年8月にフリースクールなどに通う子どもについて「指導要録上の出席」として定義するガイドラインを策定しました。

フリースクールの利用を出席扱いとするかについての判断基準などを明記し、各市町村の教育委員会に活用を促しているとのことです。

このガイドラインを活用し、市町村教育委員会や学校と民間施設との連携を一層図ることで、不登校児童生徒への支援の充実に繋がる良い取組だと考えます。

そこで2点目に、本県の不登校児童生徒のうち、学校外の機関等で専門的な相談・指導等を受け、指導要録上「出席扱い」とした児童生徒数とその割合をお示し下さい。

その上で「出席扱い」を希望する児童生徒に対しては、できるだけ保障されるような取り組みが必要だと考えますが、教育長の見解をお聞かせください。

 

▶教育長

昨年度、学校外の公的機関や民間施設において相談・指導等を受けた不登校児童生徒4,849名のうち、指導要録上出席扱いとされた人数は、約3割に当たる、1,387名でありました。

県教育委員会としては、これまでも、在籍校の校長が適切に出席扱いの判断を行うことができるよう、文部科学省関係通知の趣旨を通知や各種会議において、周知を図ってきたところであります。

今後、これまでの本県における不登校児童生徒支援事業の成果等を踏まえ、各学校の判断の参考となるチェックリストを作成し、市町村教育委員会へ提供する予定であり、その判断がより適切になされるよう、支援してまいります。

 

※資料 不登校児童生徒への出席扱いの考え方が示されたもの

令和元年10月25日文部科学省通知「不登校児童生徒への支援の在り方について(通知)」別記1

国通知 別記1

 

出典:文部科学省ウェブサイト

令和元年10月25日文部科学省通知「不登校児童生徒への支援の在り方について(通知)」

 

保護者に対する支援について

▶後藤香織

本県では、2021年12月に「福岡県不登校児童生徒支援グランドデザイン」を策定し、学校内外での不登校児童生徒への支援などの取組を強化するとしています。

また、来年度より、全国で初めて県立高校に学びの多様化学校を設置したり、県立高校入試で調査書の「各教科の学習の記録」の第3学年の評定を選考資料としない制度を実施するなど、不登校への新たな支援を進めています。

しかし、こういった情報は、学校は持っていますが、当事者である不登校の生徒や保護者には、なかなか伝わっていません。

また、子どもの不登校が、その保護者にも影響しており、2024年11月に「NPO法人キーデザイン」が、不登校の子どもをもつ保護者を対象に実施したアンケートによると、8割以上の保護者が仕事に影響があったと回答し、およそ4人に1人が仕事を辞めたと答えました。

離職の理由は「不登校がいつまで続くのか分からず、周りにいつまでも迷惑をかけられない」「家で一人にする訳にはいかない」「職場の理解が得られなかった」といったものでした。

中には、昔のイメージで「不登校は甘えだ」とか、「子育てを間違えたのではないか」といった言葉もあったそうです。

私自身も、どうしていいかわからない、といった保護者の苦悩の声を、たくさんお聞きしました。

文科省も、2023年3月に「誰一人取り残されない学びの保障に向けた不登校対策について」通知し、不登校児童生徒の保護者への支援を各都道府県教育委員会に求めています。

そこで3点目に、不登校児童生徒の保護者に対し、情報の伝達や保護者同士のつながりを深める取り組みなどの支援の強化が必要と考えますが、今後の取組をお聞かせください。

 

▶教育長

現在、県教育委員会では、教育支援センターの機能を強化するモデル事業を実施しており、学校や関係機関とのつながりが乏しい児童生徒とその保護者へのアウトリーチ型個別支援や、保護者同士が悩みを打ち明けたり、専門スタッフからアドバイスを受けたりする取組を進めています。

今後、このモデル事業の成果を広く県内に周知するとともに、不登校児童生徒の支援に関する情報が必要な方に届くよう、情報発信のあり方について検討を進め、保護者の悩みに寄り添った支援の充実につなげてまいります。

 

不登校児童生徒への通学定期乗車券制度適用について

▶後藤香織

次に、不登校や多様な学びを選択した児童生徒のいる家庭への経済的支援について、お聞きします。

不登校を要因とする保護者の離職などで、キーデザインが行った別のアンケートでは、4割近くが「収入が減った」「ゼロになった」と回答。

およそ3割の家庭では収入が月8万円以上減ったと答えています。

その上、出費は増えることになります。

例えば、給食費は、月5000円程度を払いますが、プラスして、別で昼食を準備する必要が出てきます。

フリースクールやオルタナティブスクールといった学校以外の居場所に通う場合、その利用料などの経済的負担は、文科省の調査によると、月額33,000円、年額にすると約40万円になり、不登校児童生徒の増加に対し、受け皿となるフリースクールといった民間施設の存在感が増す一方で、家計負担が課題となってます。

その中で、交通費の負担についてお聞きします。

文科省では、平成5年より、指導要録上「出席扱い」となった児童生徒を対象に、通学定期乗車券制度、いわゆる「学割」定期を適用するよう通知を出して、交通費の負担を支援することとしています。

しかしながら、全国で、約3.8万人の出席扱いとなった小中学生のうち、通学定期乗車券制度を利用できた人数は、790人しかおらず、非常に利用者が少ない状況です。

また、学校や保護者の中には「学割」は使えない、と認識している方もおり、その申請方法などが周知不足であると考えます。

そこで4点目に、本県の通学定期乗車券制度を適用した人数をおしめしください。

少しでも交通費の負担を下げるためにも、通学定期乗車券制度を適用する人数を増やすべきです。そのために、特に、学校の事務担当者などに、申請方法などの周知を強化すべきと考えますが、方策をお聞きします。

 

▶教育長

昨年度、本県の公立小・中学校における不登校児童生徒のうち、学校外の公的機関や民間施設に通所するため、通学定期乗車券制度の適用を受けた児童生徒は、9名でありました。

この制度について、家庭の負担軽減につなげるため、改めて、通知や各種会議、各学校の事務担当者を対象とした研修会の中で周知を図るとともに、不登校支援リーフレットに制度の内容を追記し、不登校児童生徒やその保護者に届けてまいります。

 

フリースクールに通う不登校児童生徒のいる家庭への経済的支援について

▶後藤香織

こういった交通費の補助やフリースクールの利用費の補助といった家庭への経済的支援を、全国の都道府県レベルでは、6都県で実施しています。

本県は、小中学校の不登校児童生徒は、18,148人と全国5番目の多さであり、また、近年、民間フリースクールの数も増加しています。

また、例えば、富山県の事例を見ると、補助金支給の条件に、通所するフリースクールが「出席扱い」であることや、ガイドラインに則った施設に通所すること、などとしており、多様な学びを広げ、教育の質を担保していくための、相乗効果であるとも感じています。

そこでこの項の最後に、本県でもこういった、フリースクールに通う家庭への経済的支援をすべきではないかと考えますが、教育長の見解をお示しください。

 

▶教育長

不登校児童生徒への今後の支援としては、まずは児童生徒一人一人に合わせた個別学習や相談などができ、利用料が無料である学校内外の教育支援センター等の充実を図るべきと考えています。

現在、国において、困窮家庭の不登校児童生徒に対する経済的支援の在り方に関する調査研究が実施されているところであり、県教育委員会としては、今後のフリースクール等に関する国の動向を注視してまいりたいと考えています。

 

要望

▶後藤香織

教育長に要望をいたします。

今回の質問に対し、不登校への対応が今後充実する方向で答弁を頂けたことはうれしく思います。

しかし、県内には、専門的な相談・支援を受けることができていない不登校児童生徒が約4割の7千人以上もいること、また、出席扱いとされた人数は、1,387人と約3割しかいないことがわかりました。

まだまだ、全ての子どもたちへの教育の機会確保、学びの保障は不十分です。

この約7千人全員を相談・支援に繋げていくためには、今回、質問した保護者への支援や経済的支援も必要になってきます。

多角的な視点で、各市町村教育委員会などともしっかり連携し、県教委の指導・助言の立場を十分に発揮していただき、更なる支援の充実を行っていただくことをお願い申しあげ、

私の一般質問を終わります。

ご清聴、ありがとうございました。

関連記事

コメント

この記事へのコメントはありません。

CAPTCHA


TOP