2023年6月定例会における私の一般質問、「子育て世代の政治参画への障壁の解消について」の内容です。
2023.6.16
Contents-目次-
選挙活動や政治活動中の保育所入所要件に関する認識について
▶後藤香織
子育て世代の政治参画への障壁の解消について、知事および選挙管理委員会委員長にお聞きします。
私は改選前の2月定例会で、投票率向上の取組について、選挙管理委員会委員長にお聞きしましたが、結果として、今回の福岡県議会議員選挙の投票率は、35.5%と過去最低、全国ワースト3位となり、大変残念に思っています。
低投票は、一般的に、一部の組織、団体、既得権を持つ後援会のある方に有利と言われています。
しっかり民意を汲み取り、多様な県民の意見を県政に反映させることが重要であると考えます。
そのため、多くの県民に関心をもってもらうこと必要があり、候補者の多様化、立候補の際の障壁の解消は重要な課題だと私は認識しています。
本年3月23日には、参議院予算委員会で、育児中の人が選挙に立候補するなどした場合、子どもを保育所に預けられないケースがあることに関して、岸田首相は「選挙活動や政治活動は一般的に、入所要件である『求職活動・就労等』に該当すると考えられる」と見解を述べ、判断の主体である全国の市区町村に対し、国の見解を自治体に周知する意向を表明しました。
私は、このことを当事者の立場から課題意識を持っており、県議会議員として初めて登壇した2019年6月定例会で「政治分野における男女共同参画の推進について」質問し、県内の子育て世代の方が、立候補を理由に離職した際に、保育所や放課後児童クラブを継続して入所できるよう、要望いたしました。
2019年当時、放課後児童クラブいわゆる学童保育については、立候補を理由に退職した場合、12市町村が入所要件に値せず、継続利用は困難であるとのことでした。
先に述べた国の見解の、選挙活動や政治活動が、一般的に『求職活動・就労等』に該当する、のであれば、今後自治体に周知される際には、保育所への入所はもちろんのこと、放課後児童クラブにおいても入所要件になるものと期待しているところです。
そこで1点目に、この国の見解が出たことについて、知事はどのように認識しているか、お聞かせください。
▶知事
保育所の入所に当たっては、国の通知に基づき、各市町村がそれぞれの利用調整基準を定め、保育の必要性の認定を行います。
今回の岸田首相の発言を受けて、国において市町村に対する通知の発出が検討されています。
市町村においては、選挙活動中などの保育の利用について、保育の必要性に係る事由となる「就労、求職活動」に該当するか、曖昧であったものと考えられます。
国の通知により、保育の必要性に係る事由として明確に示されれば、選挙活動中などの保育所利用の手続きが、円滑に進むものと考えています。
放課後児童クラブの継続利用について
▶後藤香織
4年前、立候補を理由に継続利用できないとした、県内12市町村の放課後児童クラブにおける、受入れは可能となったのか、現状をお聞きします。
▶福祉労働部部長
放課後児童クラブの利用は、児童福祉法の規定により、「保護者が労働等により昼間家庭にいない児童」が対象とされ、運営等に関する基準は、実施主体である市町村が条例で定めています。
立候補した場合の継続利用について、4年前受入れは難しいとしていた12市町村のうち、現在11市町村は受入れ可能としています。
なお、1団体については、就労や病気などの利用要件に該当しないため、受入れは難しいとしているものの、今回の首相の発言を踏まえ、見直しを検討するとしています。
市町村議会議員に対する就労証明書の取り扱いについて
▶後藤香織
次に、保育所入所の際に必要な就労証明書の取扱いについてお聞きします。
議会によっては、議員に対し、就労証明書を出さず、保育所等に入所できなかった事例もあると聞き及んでいます。福岡県議会では、議長名で、就労証明書を発行していただき、大変助かりました。
そこで2点目に、本県内の市町村議会において、議員に対する、就労証明書の取り扱いについての現状をお聞きします。
▶福祉労働部部長
現在、県内19市町村が、議員に対する就労証明書を「発行する」としています。
また、「発行しない」としている41市町村のうち、
・19市町村が事例がなく検討していない
・14市町村が議員活動は「雇用」に該当しない
・8市町村が勤務日数、時間等の把握が困難
といった事を理由としています。
子連れ選挙に関する総務省通知の周知について
▶後藤香織
最後に、子連れ選挙についてお聞きします。
統一地方選前の3月1日に、総務省は、候補者が自身のこどもを伴って行う活動、いわゆる子連れ選挙について、見解を示し、全都道府県選挙管理委員会事務局へ通知を出しました。
ここでいう「こども」とは、候補者自身の子どもだけでなく、年齢満18年未満の者を指します。
例えば、選挙期間中に可能なものとして、選挙運動用自動車の中でこどもに授乳することや、こどもが選挙ポスターを貼ること、公選法に抵触するおそれがあるものとして、選挙ポスターにこどもを掲載することや、こどもが候補者やそのスタッフと一緒に歩くこと、など、全15の項目につき、一定の考え方が例示されました。
私個人としては、この見解は子どもを持つ者の、候補者ならびに応援する立場、両面での政治参画を阻害しかねない厳しいものだと感じています。
今後の国の動きに期待します。
しかしながら、多くの子どもを持つ候補者に、この情報が届いていなかったのではないでしょうか。
また、18歳未満の者の選挙運動の禁止は、候補者自身の子どもの有無にかかわらず、必要な情報です。
候補者がしっかりと法遵守をし、知らずに処罰されることがないよう、また、守ったものが損をすることがよう、周知をしていただきたいと思います。
そこで3点目に、今回の子連れ選挙の見解について、県選管はどのように候補者、県内市町村選管に周知をしたのか、情報が公平に行きわたるようにすべきと考えますが、選挙管理委員会委員長のお考えをお聞きします。
▶選挙管理委員長
今年の3月、総務省から都道府県選管事務局に対し、18歳未満の者の選挙活動の禁止に関する条例等を取りまとめた通知が発出されました。
市町村選管に対しても、総務省から直接送付されたため、県選管からは、改めての周知は行わなかったところです。
また、この7通知は、各選管事務局に対し、選挙事務の参考として発出されたものであり、一般への周知を目的としたものではないため、候補者等に対し一律に周知するのではなく、個別の問い合わせの際に活用しています。
一方で、子ども連れで選挙運動を行う候補者が、通知の内容を事前に理解しておくことは、認識不足により違反行為を行ってしまうことの防止につながることも期待されます。
事務局に対する事務の参考としての通知ではありますが、選挙の適正な管理執行を確保する観点から、県選管では、今後、通知の内容を県ホームページに掲載するとともに、立候補予定者説明会等において候補者に対し周知を図ってまいります。
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